論文タイトル
Nicotinamide mononucleotide (NMN) as an anti-aging health product – Promises and safety concerns
出典
J Adv Res. 2021 Aug 11;37:267-278.

確認したいこと
加齢性疾患が社会課題となる中で、アンチエイジング製品の市場は徐々に大きくなっています。2020年には世界で4兆円ほどの市場規模になるそうです。様々なアンチエイジング製品があるなかで、NMNが注目を集めています。
NMNのエビデンスを、学術論文レベルで確認してみました。
要旨
NMNの分子メカニズムと、アンチエイジング効果を実証する研究結果、今後の展望についてまとめられたレビュー論文です。
用語
- NMN:nicotinamide monoculeotide
章立て
- NMNとは
- NMNのアンチエイジングに寄与するメカニズム
- アンチエイジング製品としての期待と効果
- 安全性への懸念と課題
- 結言
解説など
NMNは、ミトコンドリアのエネルギー産生に必要なNAD+の前駆体です。ミトコンドリアで産生されるNAD+の生合成経路は、原著論文の図3に図示されています。ミトコンドリアの機能維持はアンチエイジングに効果があります。NAD+が枯渇すると老化が進むといわれています。
NAD+を消費する酵素には、以下が挙げられます。
- サーチュイン
- CD38/CD157
- PARP
- TNKS
- BST1
NAD+が枯渇しこれらの酵素が働かなくなると、老化が進むのです。
NMNはこの生合成経路を利用し体内でも作ることができますが、生理機能に必要な量を確保するには、食物源から吸収する必要があるといわれています。
NMNは様々な食物に含まれています。代表的な食物には、大豆、キャベツ、キュウリ、ブロッコリー、トマト、キノコ、アボカド、生牛肉、エビなどがあります。
NAD+の体内濃度は、加齢だけでなく高脂肪食によっても低下するといわれています。
NMNをアンチエイジング製品と使用するうえでの懸念点は、臨床でのエビデンスが乏しいことです。NMNの類縁体であるニコチンアミドは、ヒトに対して複数の臓器に悪影響を及ぼし、悪心や頭痛を誘発するそうです。NMNについて、日本で実施されている臨床試験も複数あることから、今後の進展が期待されます。
追加調査したいこと
次は、臨床試験に絞ってNMNのエビデンスを集めてみたいと思いました。
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