【エイジング】「老化時計」の今

論文タイトル

Human age reversal: Fact or fiction?

出典

Aging Cell. 2022 Aug;21(8):e13664.

Human age reversal: Fact or fiction? - PubMed
Although chronological age correlates with various age-related diseases and conditions, it does not adequately reflect an individual's functional capacity, well...

確認したいこと

引き続き、老化に関連するバイオマーカーや老化度合いを測定する手法について調査しました。

要旨

老化度合いの指標となる、「老化時計」の測定方法について紹介したレビュー論文です。

章立て

  1. 緒言
  2. 機械学習と加齢予測
  3. 老化時計は高等動物に適応できる
  4. 人の老化時計を元に戻す方法
  5. ヒトで老化時計を遅くすることに関連する因子
  6. この分野の問題や制限について
  7. 結言

解説など

老化時計とは、老化に関わるバイオマーカーから、生物または特定の細胞組織の老化レベルを年齢換算で評価した指標です。以下の文献で詳しく説明されています。

https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/perspective_geriatrics_50_3_288.pdf

老化時計を計算するための入力情報は主に、DNAのメチル化などのエピジェネティックな修飾情報になります。メチル化の測定手法は、今では高速かつ網羅的に評価できる手法が確立されており、Illuminaが提供するInfinium Human Methylation450や、MethylationEPICチップの使用が一般的です。

https://jp.support.illumina.com/content/dam/illumina-marketing/apac/japan/documents/pdf/datasheet_humanmethylation450-j.pdf

あまり一般的ではありませんが、RNAやタンパク質、代謝物の情報などを計算の入力情報として使用することも検討されています。

測定された入力情報をもとに老化時計の計算をするわけですが、その予測モデルとして近年では機械学習が利用されています。今では様々な測定モデルが存在し、具体的には以下のようなモデルが挙げられます。

  • GrimAge
  • PhenoAge
  • Hannum

これらを比較された試験なども存在するのですが、アルゴリズムや入力情報の違いから性能には若干の違いがあるようです。

本文では、加齢時計の予測手法について紹介した後、予測年齢に影響を及ぼす因子について言及しています。

  • 食事制限:カロリー制限、メチオニン制限
  • 薬物療法:ラパマイシン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、CASINなど

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