論文タイトル
Computational tools and algorithms for designing customized synthetic genes
出典
Front Bioeng Biotechnol. 2014 Oct 6;2:41.
確認したいこと
- 既存の(できれば自由に使用可能な)コドン最適化ツール
人工的にタンパク質をデザインするにあたり、合成するDNAの配列を最適化も検討していきたいと考えています。
要旨
コドン最適化に重要な指標(コドンバイアス、RNA構造予測など)や、利用可能なコドン最適化ツールの特徴について解説された総説です。
章立て
- イントロダクション
- 遺伝子デザインの指標やアルゴリズムについて
- コドンバイアス
- コドン文脈のバイアス
- RNA二次構造
- リボソーム結合サイト
- 制限酵素サイト、隠れ終始コドンなど他のモチーフの回避
- 遺伝子デザインツール
- DNAWorks
- Jcat
- Synthetic gene designer
- Gene Design
- Gene Designer 2.0
- OPTIIMZER
- Visual gene developer
- Eugene
- mRNA Optimizer
- COOL
- D-Tailor
- その他
- 遺伝子デザインツールの実用レポート
- インストール・使用の簡便さ
- コドン最適化の検証
- mRNA自由エネルギー計算の検証
- 制限酵素サイト回避の検証
- 考察
考察など
前半でコドン最適化において考慮される各種指標について解説し、そのあと利用できるコドン最適化ツールについて紹介されています。
最も基本的なコドンバイアスを評価する指標として、CAIが一般に利用されているとのことです。ただその高い利用頻度は歴史的な経緯によるもので、必ずしも他の指標と比べて高い予測性能であるとは限らない点に注意です。
意外だったのは、コドンコンテキスト(前後塩基を考慮したコドンバイアスなど)まで考慮に入れたツールはEugeneとCOOLだけと少ないことです。
RNAの2次構造については、リボソームの合成速度に影響することは直感的に理解できました。一方で高密度の構造をとっているほどRNAの半減期は延長されることも考慮に入れる必要があります。つまり必ずしも高次構造化を防げばよいというわけではないとのことです。
ツールの紹介については、主要な11ツール(3章参照)が紹介されています。著者らは、Eugeneが最も汎用的に使えるツールであると言及しています。またD-Tailorは唯一ソースコードが公開されたツールです。
筆者らは4章において、紹介したツールの比較検証も行っています。コドン最適化に関しては各コドンの使用頻度を比較しているのみで、実際の発現量を比較したデータはありませんでした。数多くのツールは、1アミノ酸につき定められた1種類のコドンを使用しているのが印象的でした。
追加調査したいこと
- 2022年時点におけるコドン最適化の課題と手法
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