論文タイトル
Crystal Structure of a Tyrosine Phosphorylated STAT-1 Dimer Bound to DNA
出典
Cell. 1998 May 29;93(5):827-39.
確認したいこと
- STATとDNAの結合様式
要旨
STAT1とDNAの複合体結晶構造についての論文です。
- STAT1ホモ2量体とDNA複合体の結晶構造が、2.9Åの分解能で決定された
- STAT1はNFκBなどと同じく、免疫グロブリンフォールドを有するDNA結合ドメインをもつ
- STAT1はホモ2量体でハサミ型の構造を形作り、そのハサミの刃元でDNAと結合する
考察など
要旨においてSTAT1の2量体をハサミと例えたのは、その2本の刃先どうしはぶつからず、互いにすれ違うためです。Fig. 4Dではそれが最も示されています。
従って、STAT1の2分子がそれぞれ、DNA鎖の異なる領域に結合できます。STATが長いDNA鎖を認識するのは、このためです。
Fig. 4Bにおいて、DNAとの結合に関与する、STAT1のアミノ酸残基が、イメージとともに明示されていて、とても分かりやすいと思いました。
DNAとの結合に直接的に関与するのは、His/Arg/Lysなどの塩基性のアミノ酸が中心で、これらがDNAのリン酸基への結合することがわかります。このことから、STATの主鎖の骨格を動かすようなエンジニアリングをしないと、結合するDNA配列の特異性を変更することは難しいかもしれないと感じました。
筆者らはSTAT1側鎖とDNAとの直接的な相互作用店は比較的少なく、それが緩いDNA結合特異性に寄与していると述べています。
また実際のDNA鎖の特異性は、STATと共役してDNAに結合する別のタンパクの影響もあるそうです。
コメント