【抗体作製】 “animal immunization” vs “in vitro display library”

論文タイトル

Animal Immunization, in Vitro Display Technologies, and Machine Learning for Antibody Discovery

出典

Trends Biotechnol. 2021 Dec;39(12):1263-1273.

Animal Immunization, in Vitro Display Technologies, and Machine Learning for Antibody Discovery - PubMed
For years, a discussion has persevered on the benefits and drawbacks of antibody discovery using animal immunization versus in vitro selection from non-animal-d...

確認したいこと

  • 抗体作製に関する機械学習の活用事例

要旨

動物免疫法とin vitroディスプレイ法を利用した抗体取得の、基礎的な特徴を解説する総説です。

章立て

  1. 抗体研究者間の論争
  2. 血漿、ハイブリドーマ、細胞株に由来する抗体タンパク質
  3. 動物免疫法の利点と欠点
  4. 非動物免疫法(in vitro display)の利点と欠点
  5. 抗体作製におけるベストスタンダードを探る
  6. 抗体作製における機械学習の活用

考察など

抗体作製技術の基本的な解説が中心で、動物免疫法とin vitroディスプレイ法の比較に重きを置いていました。機械学習の利用については、そこまで最新の論文をフォローしているわけではありませんでした。

緒言においては、抗体作製に関する道徳的な議論が展開されていました。

具体的には、研究試薬や治療薬に用いられる抗体タンパク質を、動物由来から非動物由来に変更すべき、とアカデミアや欧州国からの要請があるそうです。本文にも記載されていますが、動物を用いた非臨床試験の回数に比べれば、抗体作製に利用される動物の数は多くないとのこと。活性の中途半端な抗体分子を使用することで、試験スケールが大きくなることの方が問題かと思います。

技術的な利点・欠点からではなく、サステナビリティの観点から、免疫法とin vitroディスプレイ法が比較されている記述は新鮮に感じました。

各抗体作製法の、本文中に記載された特徴をまとめると、以下のようになります。

animal immunization 
  • 〇 高い親和性 
  • 〇 系統解析可能なデータセットの充実 
  • 〇 抗原調製が不要 
  • × 時間がかかる 
  • × 抗原の免疫原性を高める必要がある
in vitro display 
  • 〇 動物の使用を減らせる 
  • 〇 特定の状態でのみ結合する抗体を選抜できる 
  • 〇 毒性の高い、免疫原性の低い抗原を扱える 
  • × 抗原調製が必要 
  • × 知財、財務的なハードルが高い 
  • × ノウハウが必要 
  • × 自己相互作用性、多反応性が高いクローンが多い

著者のバックグラウンドに依存するところがあるかもしれませんが、in vitro displayはノウハウや資源がないと扱うのが難しい、という点が特に強調されていたように感じました。

追加調査したいこと

本文中に言及のあった、”library-on-library screening” に興味を持ちました。最新の知見があれば確認してみたいと思います。

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