論文タイトル
FKBP Ligands-Where We Are and Where to Go?
出典
Front Pharmacol. 2018 Dec 5;9:1425.

確認したいこと
- “artificial dimerizer” として利用できるツール
要旨
FKBPは、その生物学的な機能として重要であるだけでなく、人工的に分子間相互作用を引き起こすタンパク質ブロックとして広く用いられています。この論文では、FKBPとFKBP結合分子の種類と特徴について解説されています。
用語
- FKBP:FK506結合タンパク質
- CID:chemically induced dimerization
章立て
- 緒言
- FKBP12とFKBP12.6
- 天然または、それに類似するFKBPリガンド
- 多環式リガンド
- FKBP12とFKBP12.6の生理的役割
- FKBP13と他のFKBPs
- FBP25
- FKBPドメイン
- BTHBドメイン
- 全長のFKBP25
- AIPL1
- FKBP51とFKBP52
- FKBP51
- FKBP52
- リガンドの開発
- SAFit2の薬理試験
- FKBP51阻害の多様なメカニズム
- 微生物のFKBPs
- FKBPsを利用したツール
- 天然のイムノフィリンリガンド
- 全合成による2価型の2量化誘導体
- FKBPリガンドCIDの利用用途
- “Reverse Dimerization”のためのイムノフィリンリガンド
- 結言
考察など
本論文では、FKBP/FKBPリガンドについて、治療薬やタンパク質工学ツールとしてだけでなく、生理的な役割を含めて解説されています。
FKBPは、細胞質、小胞体、核、TPR(テトラトリコペプチドリピート)含有型の、4グループに分類されます。
本文で取り上げられているFKBPsは、FKBP12, FKBP12.6, FKBP13, FKBP25, AIPL1, FKBP51, FKBP52です。
各FKBPは、FKBP506結合サイトが含まれていて、この領域を多様化させることで、リガンド選択性を変更することができます。
FKBPリガンドとして代表的な分子はSAFit1, SAFit2です。FKBP51とFKBP52はホモロジーが高く、特異性を示すFKBPリガンドの開発が一般的に困難であることが知られています。その中でもSAFitは、FKBP51選択的に結合することができる分子です。
タンパク質工学ツールにおける2量化誘導因子としてもFKBPは利用されます。本文ではそれを、CID (chemically induced dimerization)と呼んでいます。
CID用のFKBPリガンドであるラパログ(ラパマイシンアナログ)としては、ヘテロ2量化誘導剤のAP21967と、ホモ2量化誘導剤のAP20187が代表的な分子です。AP21967は、その分子存在下で、FKBPとFRB様タンパク質ドメインを近接させることができます。またAP20187はFK506様の対称的な2量体構造を有することで、同じFKBP様タンパク質ドメインどうしをホモ2量化させることができます。
さらに、恒常的に2量化が誘導されるFKBPバリアント(FKBP12F36M)に、Shld1誘導体を添加することで、2量化を逆に解除することができることも知られています(”reverse dimerization”)。
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