論文タイトル
The art of vector engineering: towards the construction of next-generation genetic tools
出典
Microb Biotechnol. 2019 Jan;12(1):125-147.

確認したいこと
- 大腸菌と酵母のプラスミドベクターの種類やコンポーネントについて整理したい
要旨
大腸菌、酵母、糸状菌、メタゲノミクス用のプラスミドベクターについて、歴史的にどのようなものが使われているのかや、それぞれにどのようなコンポーネントが含まれているか詳細に解説されているレビューです。
章立て
- 緒言
- 大腸菌用ベクターの開発
- モジュラーベクターの出現
- 真菌用ベクターの開発
- 酵母遺伝子導入用のツール
- 糸状菌遺伝子導入用のツール
- メタゲノミクス用ベクターの開発
- 広宿主域ベクターの利用
- ベクターデザインの課題と展望
- コピー数制御
- プラスミドの非互換性
- プラスミドの構造安定性
- 完全に特徴が判明しているコンポーネントの利用
- 汎用的 vs 用途特異的なプラットフォーム
- 環状プラスミドにおけるクローニング法の適切な選択
- 結言
考察など
原理中心の説明だけでなく、数多あるプラスミドをコンポーネントの特徴で分類し、歴史的に広く利用されたプラスミドを具体的に挙げて解説されているレビュー論文です。
遺伝子構築に必要な実験手法は、どうしても所属する研究環境に依存して、慣れた方法を繰り返し利用しがちです。そもそも自身がどのような仕組みのベクターを使用しているのか、または、新しい実験系に着手しようと思った際どのようにベクターをデザインすればよいか、わからなくて困るケースが多いように感じます。
本論文は、教科書的な内容を超え、いざ遺伝子工学を実践するうえで非常に参考になります。
大腸菌発現ベクターに関する章の中では、モジュラーベクターについて取り上げられています。pZ-Series, BioBricks, pSEVAなどが代表する機能モジュール単位で配列を組み替えることができるベクターカセットのことです。
譲渡と改変により、試料の統一が難しいことがプラスミドベクターの課題ですが、モジュラーベクターにより解決されることが期待されます。
そのような流れをうけて本文では、ベクター設計の自動化や、コンポーネントモジュールのデータベース化が進んでいることにも例を挙げて言及していました。
追加調査したいこと
- ファージミドベクター、ウイルスベクターについて
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