論文タイトル
Recombinant DNA technologies for construction of precisely designed transgene constructs
出典
Curr Pharm Biotechnol. 2009 Feb;10(2):244-51.

確認したいこと
- 遺伝子構築手法
要旨
2009年に公開された、遺伝子構築の手法(遺伝子断片のアセンブル)についての総説です。
章立て
- 緒言
- 制限酵素を利用したベクター構築
- 部位特異的組み換え反応を利用したベクター構築
- 相同組み換え反応を利用したベクター構築
- 結言
考察など
遺伝子構築に利用される手法を以下の3つに分類して、それぞれの特徴を解説しています。
- RE(restriction enzyme) based
- SSR(site-specific recombinase) based
- Homologus recombination based
随所にBAC (bacterial artificial chromosome)の構築を意識した記載があるのが目立ちました。
制限酵素を用いた手法については、制限酵素の概要から、tandem repeat assembly (同じ突出末端を生成する制限酵素の組み合わせを利用した、複数断片のアセンブル)や、Type IIS 制限酵素を利用した手法について、順番に述べられています。
SSRは、Cre-loxPシステムに代表される、特有の認識配列を標的に、遺伝子組み換えを行う技術になります。安定発現細胞株の構築にも利用される技術として、なじみのある方も多いでしょう。Cre-loxPのほかに、FLP-FRTシステム、λインテグラーゼシステムについて紹介されています。
https://tools.thermofisher.com/content/sfs/manuals/Gateway_Technology.pdf
最後のhomologus recombinationは、以下の2種類に分類されます。
- Rec-A dependent
- RecE/RecT (or Redα/Redβ) based (→Red/ET recombineering)
本文では特にRecE/RecT システムについて解説されています。本システムではまず、RecE (Redα) の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、dsDNAの末端に3′ single strand DNAが生成されます。つぎに、RecT (Redβ)が、生成されたssDNAにアニーリングして、相同組み換え反応を触媒します。
表1では、RE, SSR, Red/ETの3種類の技術の特徴(利点と欠点)がまとめられています。REでも通常の切断連結反応と、TypeIISを利用した技術では、その特徴が異なりますので、正しい理解には、より細分化した上での考察が必要でしょう。
コメント