【分子進化】ドロップレットを用いたプロテアーゼのバリアントスクリーニング

論文タイトル

Cell-free Directed Evolution of a Protease in Microdroplets at Ultrahigh Throughput

出典

ACS Synth Biol. 2021 Feb 19;10(2):252-257.

確認したいこと

プロテアーゼの分子進化技術として、ドロップレットを利用した系について調査しました。

毒性のあるタンパク質を、無細胞翻訳系かつ、コンパートメント内で活性を検出する技術(結合スクリーニングのように、プルダウンで目的クローンを回収できないことを想定)のニーズがあると考えました。

要旨

  • ドロップレット内で、RCAによるDNA増幅・プロテアーゼの翻訳・基質の添加を3ステップで実行するワークフローを構築
  • 構築したシステムを利用して、大腸菌に毒性のあるプロテアーゼであるSavinaseの活性を、5倍高めることに成功した

用語

  • RCA: rolling circle amplification
  • IVTT: in vitro transcription and translation

解説など

毒性のあるプロテアーゼなどのスクリーニングに対して、無細胞翻訳系とドロップレットを使う技術を活用するのは、自然な流れと感じましたが、本文によると、実施例は未報告だったとのことです。

アウトプットを検出するために、標的分子の十分な発現量を得ることが課題のようです。

本論文では、3ステップに分割したドロップレット調製と遺伝子翻訳のワークフローによって、その課題を解決しています。3ステップとは以下のとおりです。

  • RCAでプロテアーゼ遺伝子を増幅
  • in vitro 転写・翻訳用の試薬を添加
  • プロテアーゼ基質(基質切断により、蛍光を示す)を添加

すべての試薬を一度に添加しても、活性を検出できなかったことから、最適化されたこのワークフローの有用性を示しています。

追加調査したいこと

  • プロテアーゼ発現例以外で、ドロップレット内で無細胞翻訳と活性スクリーニング実施した例と、そのプロトコル(幅広い実施例から最適条件を確認したい)

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