【分子進化】酸素バブルで浮いたドロップレットを回収するだけ

論文タイトル

Ultra-high throughput screening for novel protease specificities

出典

Methods Enzymol. 2020;644:169-189.

NCBI - WWW Error Blocked Diagnostic

確認したいこと

引き続き、プロテアーゼの分子進化技術としてドロップレット技術を利用した系について、調査しました。

要旨

  • カタラーゼの発現による酸素バブルの発生に応じて、ドロップレットが浮遊する現象を指標に、酵素タンパク質の活性をスクリーニングするシステムを開発
  • 構築したシステムを、TEVプロテアーゼの基質特異性の変化に適用した

解説など

ドロップレット内に気泡を生成して、浮いた粒子を単離することで、活性があるクローンを選抜する、というのは面白いアイデアです。

詳細なメカニズムは下記のとおりです。

  • 分子進化対象のプロテアーゼを発現させる
  • カタラーゼ + プロテアーゼ切断基質配列 + SsrAタグ、の構成のレポータータンパク質を発現させる
    • カタラーゼ:過酸化水素を水と酸素に分解する酵素
    • SsrAタグ:タグの存在により加水分解が促進される
  • プロテアーゼがレポータータンパク質の基質を切断することで、カタラーゼがSsrAタグから分離し、カタラーゼの分解が抑制される
  • カタラーゼにより、ドロップレット内の酸素濃度が増す
  • ドロップレット内部に酸素バブルが生成し、ドロップレットが浮き上がる

アッセイの厳密性は、カタラーゼの発現量、インキュベート時間、発現ベクターのコンポーネントなどで調製可能とのことです。

本プロトコルでは、ドロップレットにアルギン酸塩が用いられています。アルギン酸塩は、安価であり、機械的な強度と熱安定性が高いため、広く使用されているものです。

システム全体で、簡便に大規模スクリーニングができる手法を目指している印象をうけました。

追加調査したいこと

  • ドロップレットのマテリアルや調製プロトコルの、ゴールドスタンダード
  • 無細胞翻訳系の技術基礎

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