論文タイトル
Cell-free platforms for flexible expression and screening of enzymes
出典
Biotechnol Adv. 2013 Nov;31(6):797-803.

確認したいこと
- 無細胞翻訳系(非ディスプレイシステム)の技術基礎
要旨
無細胞翻訳システムの、現状課題・利用法・応用例などを、広く浅く解説するレビュー論文です。
章立て
- 緒言
- in vitro遺伝子増幅を伴う翻訳システム
- 非クローニング手法による酵素のスクリーニング
- 変異ライブラリからのスクリーニング
- 非タンパク質性分子の無細胞合成
- 結言
解説など
1・2章では、翻訳効率を上げるためのシステム改良について述べられています。
3・4章では、無細胞翻訳系で発現した分子の、スクリーニング手法について解説されています。
5章は、天然のタンパク質以外の発現事例について述べられています。
本ブログでは、1・2章の内容を中心に解説します。
無細胞翻訳における発現効率のボトルネックは、ATPの欠乏にあることが、1999年にKimらによって示されています。このため、系中にピルビン酸オキシダーゼを加えたり、グルコースの解糖系を利用することで改良が試みられました。
また、系中の遺伝子の分解もタンパク質の生産性を低下させる原因となります。この課題を解決する手法のひとつが、mRNAの修飾です。mRNAの3’末端にステム・ループ構造を形成させることで、RNaseの働きを阻害することができます。
一方でDNAの分解を抑制するためには、以下の解決手段が存在します。
- エキソヌクレアーゼであるRecBCDを阻害するために、バクテリオファージλのGamタンパク質を利用
- 線状化DNAの両端をマイクロビーズに固相
等温DNA増幅法(RCA)により、効率的にDNAを増幅することも、遺伝子量を維持するには効果的です。
無細胞翻訳系では様々な因子が協調して、遺伝子の翻訳に貢献しています。あらゆる因子を人為的に調節することが可能であるため、効率的な生産には、量論的な考察が必要です。近年無細胞翻訳系に関わる様々なモデルが提唱され、実際にシミュレーションが実行されています。以下の論文では、無細胞翻訳生産のモデルについて、詳細にレビューされていました。

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