論文タイトル
Tertiary alphabet for the observable protein structural universe
出典
Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 Nov 22;113(47):E7438-E7447.

Tertiary alphabet for the observable protein structural universe - PubMed
Here, we systematically decompose the known protein structural universe into its basic elements, which we dub tertiary structural motifs (TERMs). A TERM is a co...
確認したいこと
- タンパク質のモジュール性について
要旨
TERMと呼ばれる3次構造モチーフを定義して、タンパク質のモジュール性を評価した論文です。
用語
- TERM: tertiary structural motif
- PC: potential contact
解説など
TERMとは、3次構造モチーフの一種として、筆者らにより定義された部分構造です。よくあるモチーフ定義のように、一定数の2次構造の構成から定義することは避けています。一方で、必要なモチーフの種類が、できるだけ少なくなるように制限をかけることを意図されています。
アミノ酸残基iにおけるTERMとは、i+2~i-2番目のアミノ酸からなる局所の骨格と、iが潜在的に接触するすべてのアミノ酸の局所骨格との、融合であると定義されます。タンパク質構造のデータベースに含まれる29,000のタンパク質と、67,000のタンパク質鎖をもとに解析することで、候補モチーフの最小のサブセットを見出しています。
これにより同定されたTERMは以下の特徴を持ちます。
- 5-56残基数と1-10個のセグメントで形成される
- セグメント数は3個が最頻値である
- わずか625個のTERMで、半分以上のタンパク質構造を規定できる
配列から構造を予測することは、タンパク質工学における主要な課題のひとつです。本論文では、同定されたTERMを用いて、特定のアミノ酸配列から構造を予測することも試みています。
広く利用される構造予測ツールであるRossettaの解析手法をベースに、TERMの概念を組み合わせることで、Rossetta単独よりも優れた予測精度を発揮することが示されています。TERMはRossettaと比較して、主鎖の配置を緩く解釈する手法であるため、Rossettaの予測手法と相補的に働いている可能性があるといいます。
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