論文タイトル
DNA Assembly Tools and Strategies for the Generation of Plasmids
出典
Microbiol Spectr. 2014 Oct;2(5).

確認したいこと
dsDNAをin vivoでアセンブルして、その細胞内で発現タンパク質のバリアントスクリーニングを行えるone-potシステムが構築できないかと妄想しています。
in vivoでDNAをアセンブルする技術について、網羅的に解説されているレビュー論文を読んでみましたので、この記事で紹介したいと思います。
要旨
プラスミド構築に必要な、DNAアセンブル手法、試薬・キット、ソフトウェアについて説明しているレビュー論文です。
章立て
- 緒言
- 複製起点の選択
- 配列依存的なin vitroクローニング手法
- 配列非依存的なin vitroクローニング手法
- in vivoクローニング手法
- 部位特異的変異導入
- デノボ遺伝子合成
- インシリコデザインツール
- 結言
解説など
DNAのアセンブルに関連する様々なステップについて解説しています。
一般的な遺伝子構築に役立つ情報が多いため、特定の目的がなくとも、初学者は読んでみると参考になる点が多いと感じました。また各トピックの詳細を説明するレビュー論文についての引用も十分で、この文献を起点に様々な情報を追うことが可能です。
本解説では、各トピックで私が印象に残った点について、掻い摘んで説明したいと思います。
複製起点について
- 大腸菌で汎用的に使用されている複製起点は、プラスミドpMB1に由来するColE1である。ColE1はハイコピーの複製起点として使用される。
- ローコピーのプラスミドを構築する場合は、遺伝子を染色体に組み込むか、大腸菌F因子を用いる必要がある。
配列依存的なクローニング手法
具体的には、以下の手法について言及されていました。原理などの詳細は割愛します。
- 制限酵素とリガーゼに基づく手法
- TAクローニング/TOPOクローニング/Gateway/CreLoxP
- BioBrickAssembly
- Golden Gate cloning
配列非依存的なクローニング手法
- エキソヌクレアーゼにより末端にssDNAを露出させる手法
- LIC/SLIC/In-fusion/Gibson Assembly/GeneArt Seamless and Cloning Assembly
- エキソヌクレアーゼ以外で末端にssDNAを露出させる手法
- USER/phosphorothioate nucleotide/cleaved in an iodine/ethanol solution/ssDNA overhang
- ポリメラーゼ伸長を利用する手法
- Overlap PCR
in vivoクローニング
いくつかの宿主において、細胞内でDNAの相同組み換えが起こることが知られています。
- 大腸菌:ラムダファージのredET遺伝子は、DNAの相同組み換えを強く促進する。
- 枯草菌:機構は完全に解明されていない。
- 酵母:最も広く用いられている。GeneArt High-Order Genetic Assembly Systemとして市販されている。
遺伝子合成
Venterのグループは、1.08Mbpのゲノムを、遺伝子合成技術のみで組み立て、完全合成ゲノムに由来する最初の自己複製生物を作製しました。合成技術の発展は今後も進んでいくと考えられます。現時点で最も費用対効果が高い合成サイズは、1~3kbpとのことです。短いDNA断片をアセンブルしながら必要な長さの遺伝子を調製するのが一般的です。
インシリコデザインツール
原著論文の表3にクローニング作業に関連するソフトウェアの一覧が掲載されています。
基本的に従来の制限酵素/リガーゼを用いた遺伝子構築に対応した機能は、ほとんどのツールが備わっています。Gatewayクローニングや、相同組み換えなど、最近の手法の中のいずれに対応されているかで差別化されているようです。
フリーソフトウェア
- ApE
- pDRAW32
一般的なニーズを満たす高度な解析プラットフォーム
- LaserGene
- Geneious
- CLC Main Workbench
- Vector NTI Advance/Vector NTI Express
合成生物学デザインに対応
- TinkerCell
- j5
- iBioSim
- Clotho
- Vector NTI Express Designer
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