論文タイトル
Effects of Nutritional Supplements and Dietary Interventions on Cardiovascular Outcomes: An Umbrella Review and Evidence Map
出典
Ann Intern Med. 2019 Aug 6;171(3):190-198.

確認したいこと
予防医学の発展に興味があります。エイジングに効果のある、食事療法やサプリメントについて1次情報を確認するため、学術論文から情報を取得してみました。
要旨
サプリメントや食事療法の、心血管疾患に対する効果を検証したメタアナリシス結果を紹介しています。
用語
- ω3LC-PUFA:omega-3 long-chain polyunsaturated fatty acid(長鎖多価不飽和脂肪酸)
解説など
解析対象
本論文では、以下のサプリメントまたは食事介入をを対象に評価しています。
サプリメント
- 抗酸化物質
- β-カロテン
- ビタミンB複合体
- マルチビタミン
- セレン
- ビタミンA
- ビタミンB3またはナイアシン
- ビタミンB6
- ビタミンC
- ビタミンE
- ビタミンD
- カルシウム+ビタミンD
- カルシウム
- 葉酸
- 鉄
- ω3LC-PUFA
食事介入
- 地中海食および飽和脂肪酸の減少
- 食事脂肪の変更
- 食事脂肪の減少
- 減塩
- ω3αリノレン酸の増加
- ω6PUFAの増加
結果
- ω3LC-PUFAは、心筋梗塞と冠動脈性心疾患のリスク低下と関連する
- 葉酸は脳卒中のリスク低下と関連する
- カルシウム+ビタミンDは脳卒中リスク上昇と関連する
上記以外はすべて、評価したエンドポイントに対しては効果なしと評価されています。また、上記についても、エビデンスレベルを4段階に分類(Very Low, Low, Moderate, High)した中ではLowに位置する結果でありました。メタ解析からサプリや食事療法の効果を示すのは非常に難しいことが、この結果からわかります。
ω3LC-PUFAの1種であるイコサペントエチル(EPA)は、心血管系疾患のリスク低下に働くことが知られていることから、EPAがω3LC-PUFAのベネフィットに貢献している可能性があります。
一方で、葉酸と脳卒中リスクとの関連は、主に中国における葉酸両方の有効性を評価したCSPPT試験の結果に依存しているとのことです。中国では食事による葉酸の摂取が十分でないと考えられるため、他の国で同様の結果が得られるか疑問であると、筆者らは考察していました。
追加調査したいこと
個別の臨床試験結果もディスカッションで引用されていることから、メカニズムや詳細な効果について本論文から追っていけると思います。メタアナリシスでは有意差が示されない効果について、もう少し裏付けをとりたいと思いました。
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