【ウェアラブルバイオセンサ】非侵襲性バイオマーカー検出の今①

論文タイトル

Wearable biosensors for healthcare monitoring

出典

Nat Biotechnol. 2019 Apr;37(4):389-406.

Wearable biosensors for healthcare monitoring - PubMed
Wearable biosensors are garnering substantial interest due to their potential to provide continuous, real-time physiological information via dynamic, noninvasiv...

確認したいこと

過去にアンチエイジングについての論文を紹介しました。

アンチエイジング関連のバイオマーカーや、それらを測定するためのデバイスについて、詳細を確認してみたいと思っています。

要旨

医療用ウェアラブルバイオセンサの最新技術を、表皮・眼・口腔内に装着するデバイスの3種に分類して解説したレビュー論文です。

用語

  • ISF: interstitial fluid

章立て

  1. (緒言)
  2. 表皮装着型バイオセンサ
    1. 表皮体液(汗、ISF)の分泌と組成
    2. 運動に基づく汗を測定するウェアラブルバイオセンサ
    3. イオン浸透法に基づく表皮バイオセンサ
    4. 課題と今後の展望
  3. 眼装着型バイオセンサ
    1. 眼の分泌と成分
    2. 涙成分に基づくウェアラブルバイオセンサ
    3. 課題と今後の展望
  4. 口腔内装着型バイオセンサ
    1. 唾液の分泌と組成
    2. 唾液に基づくウェアラブルバイオセンサ
    3. 課題と今後の展望
  5. 考察
    1. より広範なバイオマーカーの想定に向けて
    2. 正確性と安定性
    3. システム統合とハードウェア関連
    4. 市場への展開
    5. 展望

解説など

医療用ウェアラブルバイオセンサの最新技術について整理されています。分野別に以下3つのトピックで構成されています。

  • 表皮装着型のバイオセンサ
  • 眼装着型のバイオセンサ
  • 口腔内装着型のバイオセンサ

それぞれについて、測定対象(成分)、開発が進行しているバイオセンサの事例、現在の課題と今後の展望の3項目について言及する構成です。

バイオセンサは一般的に、

  • Bioreceptor: 標的被験物質の選択的な認識(酵素、抗体、DNAなど)
  • Transducer: 認識結果を有用な信号に変換(電気化学的、光学的、機械的など)

の2つの機能が統合されたデバイスを指すと、言及されています。

本文献では、様々なデバイスが実例として紹介されています。デバイスは、上記2つの機能を含めた以下の5つの構成要素に落とし込んで、整理することができます。

  • 活用用途、診断目的(例:糖尿病モニタリング)
  • 被検物質(例:グルコース濃度)
  • 検出法(例:免疫法(抗体など))
  • 材料(例:カーボンナノチューブ)
  • プラットフォーム、ウェアラブルの形態(例:表皮パッチ)

検出法について

検出系は、スマートデバイスの発展に伴って、電気化学的または工学的な検出手法が一般的な印象です。全体的に、電力・通信・セキュリティ強化への課題が挙げられています。その他の検出系としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 比色系:電力供給が不要で、小型で容易に着用できることが利点。高感度測定のための装置が必要。マイクロフルイディクスと統合したシステムが必要。
  • 蛍光プローブ:マイクロリットル量の操作で同等の感度を達成できる。
  • 免疫反応(抗体):酵素代謝物の検出に適している。開発成功事例は今のところなし。試料再生が難しいので、連続的なモニタリングが難しい。
  • 圧電バイオセンシング:自己給電により電源の必要性を除去することができる。
  • イオンフォレーシス:表皮分泌物への適応事例あり。

次回の記事では、この文献紹介のつづきとして、プラットフォームごとに具体的な事例を紹介したいと思います。

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