【ウェアラブルバイオセンサ】「動作」検出を「日常」に

論文タイトル

Recent developments in sensors for wearable device applications

出典

Anal Bioanal Chem. 2021 Oct;413(24):6037-6057.

Recent developments in sensors for wearable device applications - PubMed
Wearable devices are a new means of human-computer interaction with different functions, underlying principles, and forms. They have been widely used in the med...

確認したいこと

と同じ。

要旨

ウェアラブルデバイスの開発状況を、測定対象ごとに幅広く紹介されたレビュー論文です。

章立て

  1. 緒言
  2. ウェアラブルデバイスの製造方法に関する最近の進捗
  3. 医療におけるウェアラブルセンサの応用
  4. 物理量測定に基づくウェアラブルセンサ
  5. 化学量測定に基づくウェアラブルセンサ
  6. 人の動きにおけるウェアラブルセンサの応用
  7. 環境検出におけるウェアラブルセンサの応用
  8. ガス検出
  9. 金属汚染検出
  10. 環境湿度検出
  11. 結論と展望

解説など

先日紹介したウェアラブルデバイスのレビューよりも、「着る」という言葉が適したデバイスを中心に紹介されている論文です。具体的には、手装着・頭部装着・四肢装着が対象となっています。

  • ウェアラブルデバイスの基盤技術
  • ウェアラブルデバイスの製造工程を4つに分類されます。
  • センサー:動き、生体分子、環境因子などを検出。
  • 通信:無線技術(Bluetooth、Wi-Fi、近距離通信)など。
  • バッテリー:リチウム電池は、高容量で製造コストが低いが、頻繁に交換が必要。次世代の電源として、圧電、摩擦電気、バイオ燃料、熱源、太陽エネルギー、無線周波数エネルギーなどがある。
  • ディスプレイ:フレキシブルディスプレイ技術と透過ディスプレイ技術に期待

また、これらの部品を製造するために、以下のようなプリンティング技術が大きな役割を果たします。

  • スクリーンプリンティング
  • “volume to volume”のグラビアプリンティング
  • インクジェットプリンティング
  • 3Dプリンティング
  • リソグラフィー

医療への応用

筆者らは、医療、人の動作、環境の三つの分野に測定対象を分けて、関連技術を解説しています。まずは医療についてです。医療関連の測定対象には、大きく物理量と、化学量に分類することができます。

物理量測定には、加速度、心拍数、呼吸数、体温、湿度、血中酸素飽和度などがあります。血圧や心拍数の測定は、動脈と心臓に関係する疾患を診断に用いることができます。また体温は治療効果が表れているかどうかの指標にもなります。

化学量の代表的な測定対象としてpHが挙げられています。創傷近くのpHを検出することで、傷の治癒状態を判断することができます。汗や涙のpHは身体水分量に関連する情報を取得でき、これは救急時の判断に重要です。

動作検出への応用

突発的な身震いを検出することは、致死的な疾患の早期治療に重要な役割を果たします。また失声症の人のコミュニケーションを助けたり、リハビリテーションのモニタリング、パーキンソン病の診断にも役に立ちます。

また、四肢の動きを検出だけでなく、顔の筋肉の動きをモニタリングすることも可能です。これにより幸福・悲しみ・嫌悪などの感情表現の検出が可能になります。これらは医療監視に応用することができます。

転倒は、高齢者における致死的な損傷の主な原因で、その原因は、姿勢不安定性に起因します。ウェアラブルセンサは転倒のモニタリングもできますし、さらに転倒前後の介入措置も可能にします。現在ウェアラブルセンサは剛体基盤に基づくものがほとんどです。技術の改善により柔軟な素材を用いることが求められています。

本文では、各測定対象のデバイスに対して開発されている検出器や素材について、詳説されています。ご興味のある分野のデバイスがありましたら、ぜひ原著をご覧ください。

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