論文タイトル
Ageing as developmental decay: insights from p16(INK4a.)
出典
Trends Mol Med. 2014 Dec;20(12):667-74.

Ageing as developmental decay: insights from p16(INK4a.) - PubMed
The p16(INK4a) cell cycle regulator is one of the best ageing biomarkers because it is suppressed in early embryogenesis and progressively induced during ageing...
確認したいこと
以下の記事で紹介した論文で、老化のバイオーマーカーとしてp16INK4aについて言及がありました。
この記事では、p16INK4aの生理学的な役割について紹介します。
要旨
p16INK4aの細胞老化や発生に関わる役割について解説したレビュー論文です。
章立て
- p16INK4a:加齢のバイオマーカー
- p16INK4aはどのように老化に影響するか
- 細胞老化に対するp16INK4aの寄与
- 幹細胞の動態に対するp16INK4aの影響
- p16INK4aが生体老化に及ぼす影響
- 発生経路によるp16INK4a発現の調節
- ポリコーム抑制複合体
- ホメオボックスタンパク質
- Tボックスタンパク質
- WNT/βカテニン経路
- ヘッジホッグ経路
- FOXタンパク質
- 発達経路の加齢関連減衰
- 総括および今後の展望
解説など
p16INK4a(p16INK4aが正しい記載)は、サイクリン依存性キナーゼ4 (CDK4) と相互作用する分子で、細胞周期のG1期を制御する分子です。したがって細胞老化の重要なエフェクターとなります。加齢に応じたp16INK4aの発現レベルの向上が、マウス・ヒトの両方で確認されています。
老化の様々な過程に、p16INK4aが関与することを示すデータが取得されています。具体的に言及されている箇所をいくつか以下にピックアップします。
- 細胞老化に対するp16INK4aの寄与は、細胞種に依存する
- 幹細胞の自己再生能の消失は、p16INK4aと関係する(効果は限定的なため、その影響には議論の余地がある)
- p16INK4aの蓄積によって、骨格筋や脂肪細胞で初期老化と関係した表現型を示す
- p16INK4a陽性細胞の除去が、白内障やサルコペニアの発現を遅らせる
細胞老化を可逆的に制御できるか、そしてその変化をp16INK4aの発現レベルで追えるかが気になるところです。
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