論文タイトル
Accumulation of dynamic catch bonds between TCR and agonist peptide-MHC triggers T cell signaling
出典
Cell. 2014 Apr 10;157(2):357-368.

Accumulation of dynamic catch bonds between TCR and agonist peptide-MHC triggers T cell signaling - PubMed
TCR-pMHC interactions initiate adaptive immune responses, but the mechanism of how such interactions under force induce T cell signaling is unclear. We show tha...
確認したいこと
と同じ。
要旨
TCRとMHCペプチドの相互作用時に働く力学的な作用が、TCR/CD3シグナルに及ぼす影響を検証した論文です。
解説など
TCRとMHCペプチドとの相互作用に対して、力学的な作用が及ぼす影響を評価しています。ここで言及している力学的な作用は、「張力」です。つまりTCRとペプチド間に働く相互作用と同方向の力になります。
結論として、アゴニスト作用を示すペプチドの場合は、張力が働くとTCR/ペプチド間の相互作用は強まり、アンタゴニスト作用を示すペプチドの場合は、張力によってTCR/ペプチド間の相互作用は弱まるという結果です。
ここで出てくる大事な概念が、「キャッチボンド」と「スリップボンド」になります。スリップボンドは、結合界面に力が働くとその方向に滑って結合が解離しやすい結合様式のことで、キャッチボンドはリガンドがレセプターのくぼみにはまって、力が働くと逆に結合が強まるような結合様式を指します。
https://www.researchgate.net/figure/Slip-bonds-versus-catch-bonds-A-Energy-E-landscape-of-a-noncovalent-receptor-ligand_fig2_299073880
そして、TCRアゴニストの場合はこのキャッチボンドの仕組みが、アンタゴニストの場合はスリップボンドの仕組みが働いている、というのがこの論文の主張です。キャッチボンドの方が結合の持続時間が長いことが、アゴニストシグナルに好影響であると考えられます。
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