【抗体デザイン】Diffuse Bio から AI設計バインダーをスクリーニングする基盤 RamaX を発表

論文タイトル

RamaX: Ultra-fast and accurate screening of large AI-designed and naive binder libraries

出典

https://ramax.diffuse.bio/public/diffuse_ramax_report.pdf

要旨

YSD と同等の精度・選択性を維持したまま、最大8倍高速・多抗原並列でAI設計およびナイーブ抗体ライブラリを評価できる、次世代AI駆動タンパク質設計のための超高スループット実験基盤、RamaXを紹介したレポートです。

解説など

Tech x Bioのスタートアップ Diffuse Bio からのレポートです。

近年、AIによるバインダー(抗体・VHHなど)設計は大きく進歩していますが、

  • 難しい標的(低免疫原性・フラットなPPIなど)では
    → 数十〜数百ではなく、大規模ライブラリのスクリーニングが必要
  • 既存の主流手法である Yeast Surface Display(YSD) は
    → 1ラウンドに約8日かかり、並列性・スピードがボトルネック

という課題があります。

彼らは「AI設計性能はデータ量でスケールする」と明確に位置づけ、高速・低コスト・高精度で大量の結合データを生む実験基盤として RamaX を開発しました。

RamaX = 超高速・高感度・高選択性のバインダースクリーニング基盤と表現されています。詳細な手法は非開示です。レポートに記述されている特徴を挙げると、以下の性質を持ちます。

  • 1ラウンド = 約1日
  • 複数抗原を完全並列で同時スクリーニング
  • YSDと同等の精度・選択性
  • 最大8倍高速

ここからはブログ執筆者の想像ですが、以下の理由からおそらく mRNA display のような in vitro display がベースになったシステムではないかと予想します。

  • 1ラウンド ≈ 1日
    • FACSなし
    • 酵母培養なし
    • 洗浄・染色・ソーティング工程なし

→ 細胞ベースではない

  • 10⁹規模ナイーブVHHを扱える
    • 個体分解能での測定は不可能
    • 集団レベルでの選択

→ bulk selection 系


本レポートでは、次の2種類のケースでスクリーニング基盤の性能を示しています。

(A) ナイーブVHHライブラリ

  • ~10⁹規模
  • 3ラウンド → SPR
  • 1週間以内に親和性データ取得

(B) AI設計VHHライブラリ

  • ~80,000配列
  • 1–2ラウンド → SPR
  • AI設計 → 合成 → RamaX → 即データ回収

AI設計ライブラリとして必要な候補配列数の規模は大きく、大規模生成・大規模スクリーニングが前提になったワークフローです。