【抗体デザイン】「抗体」と「自然言語」の共通点と相違点

論文タイトル

ImmunoLingo: Linguistics-based formalization of the antibody language

出典

ImmunoLingo: Linguistics-based formalization of the antibody language
Apparent parallels between natural language and biological sequence have led to a recent surge in the application of deep language models (LMs) to the analysis ...

確認したいこと

深層学習を利用した、タンパク質構造予測・デザイン手法をベンチマークしています。

要旨

言語学的特性をもとに、抗体に存在する規則を発見するために重要な要素を解説するオピニオン論文です。

解説など

本論文は、オピニオン的なコンテンツで、オリジナルデータに基づくレポートではありません。抗体の言語的な要素に着目して、抗体の特性を解明するためのキーポイントを解説しています。非常に抽象的な内容で、言語学の専門用語も多用されているため難解でした。本文で取り上げられたキーワードに着目して解説してみたいと思います。

近年、深層学習を利用した抗体配列の言語モデルが注目されています。本論文では、ブラックボックスな要素を含む深層学習をさらに超えて、解釈可能な抗体配列の特徴・規則を解明することを目指しています。そのために、

  • analogy(類推、相似)
  • linguistic model(言語モデル)

の2つの重要なポイントから、抗体の特徴を説明しています。本記事では、この中でanalogyに関して抜粋して解説していきます。

抗体の”analogy”

抗体の重要な特性は、その抗原特異的な結合性に表れますので、抗原結合性を抗体のアミノ酸配列からどのように予測するか、は重要な課題です。しかし抗体の抗原特異性には、以下のような曖昧さが存在します。

  • 一つの抗体が複数の抗原に結合することがある
  • 配列の異なる抗体が、同じ抗原を認識できる
  • 標的抗原の変異に寛容な抗体がある

このような曖昧さは、自然言語にも存在する特徴です。

このように自然言語と抗体に共通する言語的な特徴には、以下の4点が挙げられるといいます。

  • Ambiguity(曖昧さ):交差的な抗原反応(複数の抗原を認識)
  • Discreteness(離散性):配列は20種の天然のアミノ酸に分解可能
  • Structure(構造、文法):1次構造~4次構造まで階層的な構造を示す
  • Compositionality(構成):モチーフ間の組み合わせ

本文では、これら一つ一つのトピックについて、抗体と言語の類似点や相違点に言及しています。ぜひ時間のあるときに、ゆっくり読み解いてみてください。

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