【抗体】抗体医薬品におけるアミノ酸配列の特徴を網羅的に解析

論文タイトル

Amino acids characterization based on frequency and interaction analysis in human antigen-antibody complexes from Thera-SAbDab

出典

Amino acids characterization based on frequency and interaction analysis in human antigen-antibody complexes from Thera-SAbDab - PubMed
BackgroundAntibodies are composed of light and heavy chains, both of which have constant and variable regions. The diversity, specific binding ability and thera...

要旨

Thera-SAbDab に登録された抗体情報を参照して、抗体医薬品の CDR におけるアミノ酸配列の特徴を解析したレポートです。

解説など

Thera-SAbDab に含まれる131種の抗体医薬品の配列情報を解析しています。データプロセシングには、主にアミノ酸の出現頻度を Biopython、相互作用領域や結合モードの解析には Arpeggio を利用しています。

解析指標は下記のとおりです。

  • アミノ酸長
  • 各アミノ酸の出現頻度
  • 各ジペプチド・トリペプチドの出現頻度
  • アミノ酸の多様性(各アミノ酸が何%含まれているか)
  • 相互作用タイプ(hydrophobic, hydrophilic, aromatic, ionic, carbonyl, hydrogen)

それぞれの指標を、重鎖・軽鎖もしくは CDR1・CDR2・CDR3 に分類して解析しています。

本論文の特徴には、抗体医薬品におけるジペプチド・トリペプチド情報を最も深く解析していること、また interaction diversity index を導入し初めて解析に活用したことが挙げられます。

本論文から得られる主な知見は次のとおりです。

  • HCDRs には Gly が最頻 (H1: Gly > Phe > Ser, H2: Gly > Ser > Ile, H3: Tyr > Asp > Gly)
  • LCDRs には Ser が最頻 (LCDR1/2: Ser > Ala > Asp, LCDR3: Gln > Thr > Ser)
  • 相互作用界面の diversity index に着目すると HCDR の最頻値は30%、LCDR は15%でとても少ない。
  • 相互作用界面には、Tyr, Trp, Phe が頻出 (50-70%)
  • 正電荷性アミノ酸の相互作用界面出現頻度が最も少ない(構成しているアミノ酸種も影響?)
  • 疎水性相互作用がもっとも貢献度が高い

本レポートの課題としては、示された結果自体に新規性が乏しい(一般的なタンパク質間相互作用や既報の抗体・抗原相互作用から得られた解析結果に比べて、特質した特徴が少ない)ことや、得られた知見の応用方法(バインダー取得の効率化のために本データをどのように活用するか)に対する言及が少ないことです。