論文タイトル
Accessing unexplored regions of sequence space in directed enzyme evolution via insertion/deletion mutagenesis
出典
Nat Commun. 2020 Jul 10;11(1):3469.

Accessing unexplored regions of sequence space in directed enzyme evolution via insertion/deletion mutagenesis - PubMed
Insertions and deletions (InDels) are frequently observed in natural protein evolution, yet their potential remains untapped in laboratory evolution. Here we in...
確認したいこと
- 分子進化手法の最新技術
要旨
- トランスポゾンを利用して、欠失と挿入を伴う変異ライブラリの構築技術(TRIAD)を開発した
- TRIADをアリルエステラーゼに適応し、酵素活性を改善させた
用語
- InDels: insertions and deletions
- TRIAD: transposon-based mutagenesis approach
- PTE: phosphotriesterase
- AE: arylesterase
解説など
トランスポゾンとは、ゲノム上を転移する塩基配列を指します。トランスポザーゼと呼ばれる酵素が、トランスポゾンの両末端に含まれる反復配列を認識し、ゲノム配列からトランスポゾンを切り出します。その後、このトランスポゾンは部位非特異的にゲノムに再挿入されます。
本研究では、トランスポゾンの両末端に、TypeIIS制限酵素を含めたデザインを設計していることが、技術のカギとなります。
まず、このトランスポゾンカセットを、標的遺伝子に部位非特異的に挿入します。その後、人為的にTypeIIS制限酵素でトランスポゾンを除去すると、制限酵素認識配列の外側にある標的遺伝子が3bp欠失することになります。この断片をセルフライゲーションすることで、3bp分欠失された標的遺伝子を調製することができます。
TypeIIS制限酵素認識配列を正しく設計することで、3bpの欠失は原理的には確実に守られるため、フレームシフトを起こさず、欠失した遺伝子を調製することが可能になります。
挿入される箇所のバイアスは緩く、基本的にはどこにでも挿入可能です。5日間に及ぶ簡単なクローニング手順で、大規模な欠失・挿入ライブラリを構築できたと、本論文では言及されています。
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