【タンパク質構造解析】”ネスト”の実態

論文タイトル

A novel main-chain anion-binding site in proteins: the nest. A particular combination of phi,psi values in successive residues gives rise to anion-binding sites that occur commonly and are found often at functionally important regions

出典

J Mol Biol. 2002 Jan 11;315(2):171-82.

A novel main-chain anion-binding site in proteins: the nest. A particular combination of phi,psi values in successive residues gives rise to anion-binding sites that occur commonly and are found often at functionally important regions - PubMed
Main-chain conformations where one amino acid residue can be described as gamma(R) (or alpha(R)) and an adjacent one as gamma(L) (or alpha(L)) mostly result in ...

確認したいこと

タンパク質モチーフのひとつであるネストの引用論文から、その詳細を確認しました。

要旨

ネストについて、定義と特徴、ネストが含まれる代表的なタンパク質について解説されています。

用語

  • γR, γL, αR, αL: 主鎖の二面角によって区切られた構造領域。以下の表のとおりに分類される。
ΦΨ
αR-70°-40°
αL70°40°
γR-90°
γL90°
  • R, L: 特定の主鎖二面角をもつアミノ酸残基。RL, LRなどは連続するアミノ酸残基を表す。
  • NNN: 連続するペプチド主鎖の窒素原子3つにより形成される角

章立て

  1. 緒言
  2. 結果と考察
    1. なぜネストは新しいクラスのモチーフを構成するのか
    2. 全部で323個のネストを67個のタンパク質データベースから発見
    3. ネストと他のモチーフとの関係
    4. ネストの配置と形状
    5. ネストとペーパークリップモチーフとの関係
    6. 新規モチーフであるAsxネストとSTネスト
    7. 複合ネストとタンデムネスト
    8. 機能的に重要なネスト
    9. Pループ
    10. セリンプロテアーゼにおけるオキシアニオンホール
    11. カルシウム結合サイト
    12. 鉄-硫黄タンパク質
    13. 他の機能ネスト
  3. 結言

解説など

ネストとは、ペプチド主鎖の3つのNHにより、負に帯電した原子を収容できるくぼみをもつペプチドモチーフです。3つの窒素原子が織りなす角は、平均122°であるそうです。

67個のタンパク質データベースを探索すると、323種類のネストが存在するといいます。短いモチーフではあるものの意外と少ない印象です。

ネストはさらに細かく、以下に代表されるモチーフに分類されます。ネスト周辺における水素結合の形成様式によって分類されるらしく、その違いは図3で示されています。

  • Paperclip
  • β-Turn
  • β-Bulge Loops
  • Asx-Motif
  • ST-Motif
  • etc.

アミノ酸残基の指向性については言及がありません。周辺の構造との関係も、ネストとして存在するかどうかに重要なのでしょうか。

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