論文タイトル
Quantitative Description of Surface Complementarity of Antibody-Antigen Interfaces
出典
Front Mol Biosci. 2021 Sep 30;8:749784.

確認したいこと
- タンパク質の溶媒露出残基を同定する方法
要旨
抗体の抗原結合表面の形状と電荷プロファイルを、3Dゼルニケ記述子で表現することで、抗原結合性を予測することに成功した
用語
3DZD: 3D Zernike Descriptors
解説など
抗体の相互作用表面の特性を記述することは、標的抗原に結合する抗体をデザインする上で重要となります。これまでに、以下のような表現方法が開発されていました。
- solvent accessible surface (Lee et al., Connolly et al.)
- spherical harmonics descriptors (Leicester et al.)
- Fourier correlation theory (Gabb et al.)
- tessellation (Walls et al.)
- void volume (Jones et al.)
- surface density (Norel et al.)
本研究では、3Dゼルニケ記述子(3DZD)に基づいて、抗体の相互作用表面の特性を表現する手法を紹介しています。3DZDの算出に用いられる3Dゼルニケ多項式の特徴は、他のモーメントベースの記述子と比べ、3D物体の回転並進性を簡潔に表現できる点であると述べられています。
本研究では、抗原と抗体の相互作用界面の形状と、静電特性を記述するために3DZDを利用しています。ここで表現された3DZDをもとに抗体のCDRレパトアを分類すると、抗原結合抗体と非結合抗体を精度よく分類できるとのことです。
さらに詳細に解析すると、静電特性に基づく分類に比べて、抗原と抗体の相互作用界面の形状に基づく分類の方が、若干予測精度が高い結果でした。また、この形状に基づく分類では、その表面領域がCDRの20 %を占める条件で計算したときにおいて、最も予測パフォーマンスが高く、それを超えると直線的な予測精度の低下が確認できます。
一方で、アミノ酸組成や表面領域の大きさ、溶媒露出性を利用した分類では、抗原結合の予測精度は低いとのことで、3DZD表現の優位性が主張されていました。
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