論文タイトル
PyRosetta: a script-based interface for implementing molecular modeling algorithms using Rosetta
出典
Bioinformatics. 2010 Mar 1;26(5):689-91.
確認したいこと
- PyRosettaの概要と利用方法
要旨
RosettaパッケージをPythonベースで実装した、PyRosettaについて解説した論文になります。
解説など
PyRosettaとは、生体分子モデリングツールのひとつであるRosettaを、Pythonベースで実行するためのパッケージです。
Rosettaには多様な機能があり、複雑なステップを踏む解析や、パラメータをカスタマイズした解析を実行するためには、Rosettaのソフトウェア開発とC++のプログラミングスキルを必要とします。RobettaやROSIEなどの解析用ウェブサーバーも公開されていますが、パラメータを複雑に変更した条件での解析はフォローされていないことが多いです。
PyRosettaでは、GCC-XML、Py++パッケージ、Boost.Python libraryなどのツールを利用することで、Pythonでの解析を可能にしています。計算コストについても、PyRosettaはRosettaのC++ビルドとほぼ同等の性能を示すとのことです。
ここからは、PyRosettaの特徴について解説します。
PyRosettaでは、生体分子は「Pose」と呼ばれるオブジェクトで表現されます。Poseには、デカルト座標または内部座標(bond,angle, torsionなど)の情報が含まれています。PDBファイルから開始構造がPoseに呼び出され、その内部座標を動かすことで立体構造を変化させます。
各Poseにおけるタンパク質構造のエネルギーは、「ScoreFunction」を用いて計算できます。ScoreFunctionは、独立したエネルギー項(Vander Waals 相互作用、水素結合など20種以上の項を含む)の合計で表現されます。それぞれの項に対して重みを設定することで、ScoreFunctionをカスタマイズすることが可能です。構造のサンプリングは「Mover objects」で表現されます。Moverには、バックボーンのねじれ角を摂動するSmallMoverや、エネルギー関数を用いて構造を最小化するMinMoverなどが含まれます。また、探索する立体配座空間は、MoveMapやFoldTreeにより制限されます。
以下のリンクから、PyRosettaについてさらに学習することができます。一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
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