HIV-TATについて
TATペプチドは、レンチウイルスであるHIV-1がコードする遺伝子の1種です。HIV-1から作られたTATタンパク質は、HIV遺伝子の転写を活性化することで、ウイルスの産生を促します。

TATに含まれる細胞膜透過ペプチドが、いわゆるTATペプチドと呼ばれるものです。
TATタンパク質の48-60残基に存在し、GRKKRRQRRRPPQというアミノ酸配列を示します。
配列からわかるように非常に塩基性アミノ酸が集積したペプチドです。その特性から細胞膜を透過しやすいことが知られています。
AlphaFoldで構造予測
このペプチドの構造を、AlphaFoldで予測しました。

強固な2次構造はみられません。
配列が短く、電荷的な反発が大きいことが原因でしょう。
Folditで読み込むと、以下のような構造を描画できます。

Folditでモデルを動かしてみる
こちらが、fastaファイルを読み込んだ初期構造です。

「Rebuild」(※以下解説参照)すると、割と複雑に折りたたまれた構造が複数提案されます。
自分でも骨格を折り曲げると、見かけのスコアが高い構造を得ることができました。

この現象は、以前の検証時にも確認されました。
おそらく、天然の構造を模すためには、赤く示された骨格を解消することを、みかけのスコアよりも優先するべきなのでしょう。
実際に初期構造を「Global Wiggle」すると、天然の構造に近い主鎖骨格を得ることができました。

「Rebuild」について
Rebuildの仕様を確認するために、以下のサイトを参照しました。

ハイスコアをとるための汎用的なストラテジーについても解説されていて、とても有用です。
Rebuildとは、あらかじめ用意されたフラグメントライブラリを探索し、配列がマッチする3残基セグメントに置換します。これを対象領域に対してランダムに繰り返します。大きくスコアが下がった場合は元の形状にリセットされるため、徐々に高いスコアに最適化されます。
Rebuildの対象には、赤く表示された主鎖骨格を選択するのがおすすめです。その両側に存在する領域をあらかじめロックして、赤い領域がロックの中央にくるようにします。その後「Rebuild」を実行します。そこからは構造の最適化です。「Global Wiggle」→「Global Shake」→「Local Wiggle」の順に実行すると高いスコアの構造を構築することができるとのことです。
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