論文タイトル
Deciphering interaction fingerprints from protein molecular surfaces using geometric deep learning
出典
Nat Methods. 2020 Feb;17(2):184-192.

確認したいこと
- 結合分子のde novoデザイン手法
要旨
深層学習を用いた分子間相互作用予測手法である、MaSIFを提案した論文です。
解説など
従来の構造・相互作用予測手法は、進化学的な類似性を利用して鋳型となる配列・構造をサンプリングする手法が主流でした。したがって、類似性がないタンパク質に対しては低い予測精度であることが課題となります。
本手法では、深層学習を活用することで、表面上の類似性を明確にせずともパターンを認識できることを、分子間相互作用予測に応用しています。
この手法においては、分子構造の表現は、ユークリッド距離ではなく、地質空間(geodesic space)で表現されます。これにより例えば、深いポケットをもつタンパク質表面の距離は、ユークリッド距離よりもはるかに大きく表現されます。
MaSIFでは、以下の3つのアプリケーションが存在します。
- タンパク質ポケットと低分子リガンドの相互作用予測
- タンパク質間相互作用の結合領域予測
- 相互作用パートナーの探索
学習モデルの構築に利用されるデータセットは、「large dataset」としか記載がありません。パブリックのデータを利用しているのでしょう。
結果
タンパク質ポケットと低分子リガンドの相互作用予測のコンセプト証明のため、7つの低分子リガンド(ADP、NAD、NADP、FAD、SAM、CoA、heme)とタンパク質との複合体構造をデータセットにモデルを構築していました。このモデルを利用して、指定したタンパク質が7つの分子のいずれに結合するか予測できるか検証しています。同じポケット分類手法であるProBiS、KRIPO、SiteEngineとも比較して、MaSIFが優れた成績を示していることを証明しています。
他2つのアプローチについても、従来法との比較評価により、同じように有用性が示されていました。
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