【量子コンピュータ】Rosettaの機能を量子コンピュータで実現 QPackerとは

論文タイトル

Designing Peptides on a Quantum Computer

出典

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確認したいこと

深層学習を利用した、タンパク質構造予測・デザイン手法をベンチマークしています。

今回は先日の記事の最後で紹介した、Rosettaを量子アルゴリズムで実現した手法について解説していきたいと思います。

要旨

量子アルゴリズムでRosetta Packerの手法を実現させた、QPackerを提案した論文です。

解説など

タンパク質のインシリコエンジニアリングツールであるRosettaには、Packerという初期デザインアルゴリズムがあります。Packerを利用すると、モンテカルロ法(シミュレーテッドアニーリング法)を利用してロータマーを探索できます。したがって、Packerを用いて側鎖構造を最適化することができます。

本論文で提案されたQPackerは、このPackerを量子コンピュータで実行できるアルゴリズムです。

実検証では、このQPackerを、既往のアルゴリズムである、

  • 古典的なRosetta Packer
  • Toulbar2

の2つと比較しています。

解析に必要な計算時間を確認すると一目瞭然で、既往のアルゴリズムでは、残基数が増えるごとに計算時間が増加するのに対し、QPackerでは、一定時間のまま変化がありません。多数の可能性を同時並行的に探索できる、量子コンピュータの特徴が示されています。

デザインされた構造の安定化エネルギーは、既往のアルゴリズムとの強い相関が確認できることから、QPackerが、これまでの手法と同等の予測精度を示していることがわかります。

実際に本手法を、従来法と比較して優位性のある手法として活用しようとすると、現行世代の量子コンピュータの、400-10,000倍くらいスケールの大きいマシンでないといけない試算になります。

ハードウェアだけでなく、誤り修正手法や、アルゴリズムの改良を含め、今後の発展が期待されます。

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