論文タイトル
A compact vocabulary of paratope-epitope interactions enables predictability of antibody antigen binding
出典
Cell Rep. 2021 Mar 16;34(11):108856.

確認したいこと
深層学習を利用した、タンパク質構造予測・デザイン手法をベンチマークしています。
要旨
Structural interaction motifsと呼称する独自の表現方法で、抗原抗体相互作用の特徴を低次元で効率的に表すことを試みた論文です。
解説など
はじめに、”Structural interaction motifs” の表現方法を説明します。抗原抗体反応のエピトープ・パラトープは、一般に、一次構造上に不連続的に存在します。そこでまず、エピトープまたはパラトープとして定義される残基をinteracting residues、それ以外の残基をnon-interacting residuesに分類します。
interacting residuesにあたる領域は、アミノ酸種の情報を脱落させて残基ごとに”X”と表現します。non-interacting residuesにあたる領域は、その残基長だけを数字として抽出します。また、最も外側のinteracting residuesより、さらに外側のnon-interacting residues は無視します。
上記を配列例を用いて説明すると、以下の通りとなります。
RAVRAGISGWT (赤字がinteracting residues、黒字がnon-interacting residues)
→ XX2X (“AV“はXX、”RA”は2、”G“はX、それ以外は無視)
このように相互作用モチーフを定義すると、その語彙数は10^4未満になります。このとき、エピトープとパラトープそれぞれから生成されるモチーフペアの関係性は、抗原抗体相互作用とその他の蛋白質間相互作用で、大きく異なっていたとのことです。
上記の例を踏まえると、天然の相互作用は、相互作用モチーフの不連続性を定義することが大事といえます。デノボで人工的に相互作用界面をデザインするときに、デザイン難度の観点から、このような複雑さを採用するか否かは議論の分かれるところと感じました。
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