論文タイトル
Proof of principle for epitope-focused vaccine design
出典

Nature. 2014 Mar 13;507(7491):201-6.
確認したいこと
Rosettaの使い方を学習できるコンテンツを作成しました。引き続きコンテンツを拡充するために学習中です。
要旨
Rosettaで、特定のエピトープ構造をスキャフォールドにグラフトするプロトコル”Fold From Loops” (FFL)について紹介した論文です。
解説など
望みのエピトープ構造を、スキャフォールドにグラフティングするアプローチは、ワクチンデザインなど機能性のモチーフを安定なタンパク質として調製するために、便利な方法です。
本ブログでも、モチーフグラフティングに適用できるRosettaのプロトコルとして、RosettaRemodelや、MotifGraft (side chain grafting、backbone grafting) について過去に解説しました。
これらのうちMotifGraftは主鎖骨格をデザインするための手法、RosettaRemodelはループをデザインするための手法になります。一方で今回紹介する手法 FFLは、スキャフォールドとループをそれぞれデザインできるアプローチです。FFLの特徴は、グラフトするモチーフの機能を保持するために、バックボーンの柔軟性を考慮して、スキャフォールドをデザインできることにあります。
本文中では、FFLを使ったデザイン事例の紹介がメインとなります。RSVエピトープをヘリックスバンドル構造をもつスキャフォールドにグラフティングして、ワクチンとして機能するか検証されています。
メソッドの項に、手法の詳細が記載されています。FFLは大まかな流れとして、以下の4手順を踏みます。概念図は、”Extended Data Figure 1″に記載されています。
- 機能性モチーフと、その周囲のフォールディングトポロジーの選択
- ab initio foldingによる骨格構造の構築
- 反復的な配列設計と構造緩和
- フィルタリングと人による最適化
①では、モチーフ・スキャフォールドのそれぞれに対して、望みの構造を用意します。
②では、スキャフォールドの対象領域にモチーフをグラフティングします。挿入位置はループファイルとして事前に定義して、実行コマンドに情報を渡します。その後、フラグメントアセンブリのプロトコルを用いて安定構造を構築します。骨格構造を強く固定しないことが特徴です。
- ab initio simulation
- FFL restrained simulation
の2つで、Cα間の距離に制限をかけつつ、フォールディングを予測しています。
③では、まず生成したフォールディングのうち、スキャフォールドのRMSDが5Å以下の構造をフィルタリングします。その後、以下の順序で配列デザインを行います。
- i) recover functional motif side-chains
- ii) sequence design
- iii) full-atom optimization
ii)-iii)間は、3回反復を繰り返します。
④では、生成された配列を構造的な指標をもとにさらにフィルタリングします。具体的には以の4点です。
- Rosetta full-atom energy
- Ramachandranスコア
- 水素結合のないコア部の残基数
- RosettaHoles
FFLは、現在、改良型のFunFolDesとしてプロトコルが公開されています。こちらも今後の記事で紹介したいと思っています。
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