【ALL】病因・疫学・診断・治療

論文タイトル

Acute lymphoblastic leukaemia

出典

Lancet. 2020 Apr 4;395(10230):1146-1162.

NCBI - WWW Error Blocked Diagnostic

確認したいこと

小児がんに特徴的ながん種であるALLの治療法の確立を目指して、ALLの課題を整理してみたいと思っています。

要旨

ALLの病因・疫学・診断・治療についての、体系的な解説記事です。

章立て

  1. 緒言
  2. 素因
    1. 遺伝的感受性
    2. 環境要因
  3. ALLの遺伝学
    1. B-ALL
    2. 再発性の染色体異常
    3. その他の集団
    4. 再発性B-ALL
    5. T-ALL
  4. 診断
  5. 予後因子
    1. 臨床的および生物学的因子
    2. 治療効果
  6. 現在の治療
    1. 寛解導入療法
    2. 地固め療法
    3. 強化療法
    4. 維持療法
    5. 中枢神経系の予防及び治療
    6. 同種造血細胞移植
  7. 新規薬剤
    1. CD20
    2. CD22
    3. CD19
    4. CAR-T
  8. 再発治療の次の課題
  9. 結言

解説など

ALLは遺伝的な素因の影響は少なく健常者に発症する病気です。特に小児がんの中で高頻度に発症することが特徴になります。寛解導入療法の発展に伴って初回の寛解率は劇的に向上している一方、再発やその後の治療にはいまだ課題がある疾患です。また再発後の治療はHCTの適応が優先されることもあり、高齢者に向けた治療方法にも課題があります。

本記事では、再発後治療の課題に言及したトピックに注目して解説していきたいと思います。まず、腫瘍細胞が免疫療法を回避できる主な機序として、抗原消失があります。これを回避するための治療法として、抗体またはCAR-Tにおいては複数の分子を標的とする手法が確立されています。B-ALLであれば、CD20、CD22、CD19などがその標的になります。

T-ALLは、その遺伝的な素因からNOTCH1が魅力的なターゲットとして、注目されています。NOTCH経路を標的とするγセクレターゼ阻害剤は有望視され開発が進んでいる状況です。正常なT細胞と悪性なT細胞を見分けることが難しいことから、表面抗原を狙った抗体やCAR-Tでの開発は遅延していますが、CD5、CD7、CD38などを標的とした抗体の開発が進んでいます。

結言としては、第一選択治療として、モノクローナル抗体が導入される日も遠くないと言及されています。CAR-Tは重度の毒性の予防や管理に成功がカギになるとのことです。

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