【クライオ電顕】AF2 を利用して電子密度マップからの構造予測精度を向上!

論文タイトル

Protein Structure Refinement via DeepTracer and AlphaFold2

出典

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.08.16.553616v1

確認したいこと

深層学習を用いたタンパク質デザイン手法をベンチマークしています。

要旨

電子密度マップからの構造推定手法 DeepTracer にAF2予測情報を取り入れて、解析精度を向上を試みた研究です。

解説など

従来クライオ電顕から得られる電子密度マップからの配列・構造推定には、ヒューリスティックなパスウォーキングアルゴリズム、またはツリーグラフアルゴリズムが採用されていました。また、近年の機械学習手法の発展により、DeepTracer などの高精度予測手法が利用されるに至っています。

DeepTracer は、U-Net と呼ばれる 3D 畳み込みニューラル ネットワークを利用して、クライオ EM 密度マップからアミノ酸残基を特定する手法です。

DeepTracer を用いた電子密度マップからの構造推定には、以下の課題があるといわれています。

  • 誤接続:アミノ酸残基が誤った順序で接続される
  • アミノ酸残基予測:高解像度の電子密度マップにおける分解能は 2 ~ 4 Å であり、原子(直径およそ 1 Å)を区別するには不十分なため、構造が類似しているアミノ酸残基は見分けられない

筆者らは、この手法に AlphaFold2 による予測を取り入れることで、DeepTracer の課題を克服することを試みています。このメソッドを DeepTracer-Refine と呼んでいます。

具体的な手法は次の通りです。

  • AlphaFold2 により残基ごとの pLDDT を算出
  • pLDDT の値が小さい(信頼性が低い)残基を境目に AlphaFold2 の予測構造をドメインを分割
  • DeepTracer の予測モデルとアライメント

この方法により、AF2 の信頼性の低い構造領域を DeepTracer で補完する(DeepTracer の誤接続や、アミノ酸残基の不確かさを AF2 で補完する)ことができるとのことです。

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