論文タイトル
EpiScan: accurate high-throughput mapping of antibody-specific epitopes using sequence information
出典

要旨
抗体の標的エピトープ残基を予測する手法 EpiScan の開発を記述した論文です。
解説など
既報の抗体エピトープ予測手法として、以下のような手法が知られています。
- EPI-EPMP
- EPI-CNN-GCN
- EpiPred
- DiscoTope
- Sppider
- AbAdapt
- DeepBindPPI
- PECAN
- PInet
近年の手法の多くはグラフニューラルネットワークに基づいて抗体・抗原それぞれのタンパク質構造を入力情報として活用するモデルです。
これに対して、筆者らが提案した EpiScan は、そのネットワークアーキテクチャに大きな特徴のあるエピトープ予測手法です。EpiScan では、抗体の配列情報と抗原の構造情報がモデルへの入力情報となり、出力として標的抗原のエピトープを残基レベルで同定します。
EpiScan では、ネットワークを複数のサブモデルの組み合わせで構築し、それぞれのモデルが独立して抗体構造の異なる領域(CDR、FR) の特徴量を抽出します。さらにそれぞれから、
- Hinge Block:抗体内部(FRやCDR)間の関係性をとらえる
- Binding Block:抗体・抗原相互作用の関係性をとらえる
という上位ブロックを形成します。各ブロックから得られる情報の重みづけは、”attention-scoring function”に基づいて決定されます。
このように構築された EpiScan は、複数のベンチマークデータで評価をすると、既報のエピトープ予測手法と比較して優れた予測成績を示すことがわかりました。本論文では、複数のデータセットを用いてとても詳細にその性能を評価していることが特徴です。
VH/VL や FRs/CDRs など抗体内部の相互作用が抗体の全体構造、ひいては抗原との結合活性に重要である場合は、本手法のように多面的な構造情報を抽出したモデルが有利である可能性が高まります。本手法では抗体情報は配列として入力しているので、モデリングの精度も大きく本手法の成績に寄与するでしょう。
コードはこちら。
Webアプリ版も公開されています。