論文タイトル
YAbS: The Antibody Society’s antibody therapeutics database
出典
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要旨
抗体医薬品のキュレーションデータベース YAbS を紹介した論文です。
解説など
科学研究用途の抗体データベースには、配列が大規模に格納された Observed Antibody Space や 構造情報を含む SAbDab などが有名です。臨床入りした医薬品用途の抗体ですと、以下のようなデータベースがこれまでに存在していました。
- public
- IMGT/mAb-KG
- DrugBank
- TheraSAbDab
- commercial
- Beacon
今回紹介する論文の筆者である Antibody Scociety のチームは、既存のデータベースにおける情報の欠損や網羅性の不十分さを課題と捉えて、TheraSAbDab などと同じく抗体医薬品の情報に特化したデータベース YAbS を開発しました。
YAbS
YAbS: A database for antibody therapeutic market
YAbS は、上記のとおりブラウザからアクセスすることが可能です。YAbS は人の目で十分にキュレーションされたうえで2か月に一度更新されます。レコードには、2,900 もの医療用抗体の情報が含まれています。その対象は、2000 年以降に臨床入りもしくは承認済み、かつ抗原結合活性をもつ抗体遺伝子が由来のリコンビナントタンパク質です。逆に以下に該当するものは、登録から除外されています。
- バイオシミラー
- 非医療用途(診断、研究用途など)
- ポリクローナル抗体
- 非タンパク質製剤(核酸など)
- Fc融合タンパク質 (Fvをもたない)
- 非営利企業による出資
データベースの更新の持続性が気になりますが、情報の充実さは魅力です。本文の中では使用例として、各抗体医薬品パイプラインの統計解析の結果が紹介されています。各パイプラインの承認までの期間を例に挙げると以下のような傾向があるとのことです。
- cancer は non-cancer より承認まで1年ほど早い
- 主要な non-cancer area の中だと、cardiovaslular が最も早く、immmune mediated / inflammatory disorders が最も遅い
→ 治療期間の長さや、治療の緊急性が影響?
- naked monospecific より ADC や Bispecific は承認が早い
→ 標的が FIC か BIC であるかが影響?