論文タイトル
De novo designed bifunctional proteins for targeted protein degradation
出典

要旨
de novo 設計した小型タンパク質を タンパク質版 PROTAC として使い、BCL-xL を細胞内で分解し、アポトーシスを誘導できることを実証した論文です。
解説など
筆者らは、本論文でタンパク質性 PROTAC のデノボ作製を試みています。
PROTAC は、分解対象となる標的分子と、標的分子のユビキチン修飾を担うE3リガーゼを近接させる “molecular glue” です。本論文では標的分子として分解により細胞のアポトーシスを誘導 BCL-xL を、E3 リガーゼとして KLHL20 を選択しています。
分子設計は、
- PROTAC のスキャフォールド選定
- BCL-xL バインダーの設計
- KLHL20 バインダーの設計
の3ステップで進行します。
スキャフォールドの設計
筆者らは、PROTAC のスキャフォールドとしてデノボ性の sc-apCC-2 というタンパク質を利用しました。これは 67アミノ酸残基から成るhelix–loop–helix 構造です。筆者らは coiled-coil 構造をもつタンパク質の合理設計を長年研究対象としており、そこから生まれた単鎖構造です。sc-apCC-2はループとヘリックス外面を独立に機能化できることが特徴で、これが PROTAC の機能設計に役立ちます。
BCL-xL バインダーの設計
以下の手順で設計しています。
- BCL-xLに結合するBH3モチーフをスキャフォールドのヘリックス部位にグラフティング
- ProteinMPNNで界面を拡張
- AlphaFold2で構造予測
- Rosetta dG / Shape Complementarity で選抜
KLHL20バインダーの設計
数あるE3リガーゼの中でKLHL20を標的に選んだ理由は、SLiMと呼ばれる短い線形モチーフで結合することが知られているためです。このモチーフをスキャフォールドのループ部位に挿入しました。その後 ProteinMPNNで周辺配列を最適化しています。
本設計から、クローナルスクリーニングが可能なデザイン数のみで PROTAC としての性質を有するタンパク質の同定に成功しています。従来の合理設計アプローチを近年のAIモデルが補助していると捉えることができる研究です。

