【de novoデザイン】SARS-CoV-2スパイクタンパク質を中和する分子をin silicoでデザイン

論文タイトル

De novo design of picomolar SARS-CoV-2 miniprotein inhibitors

出典

Science. 2020 Oct 23;370(6515):426-431.

De novo design of picomolar SARS-CoV-2 miniprotein inhibitors - PubMed
Targeting the interaction between the severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) spike protein and the human angiotensin-converting enzyme 2 (...

確認したいこと

近年はRIFドッキングを採用したタンパク質のデザイン手法が着実に成果を上げています。

同手法による過去の実施例を整理するために読んでみました。

要旨

in silicoでSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する結合分子をデザインした結果を紹介しています。

用語

  • RBD: receptor binding domain

解説など

本論文では、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のレセプター結合ドメイン(RBD)に対する高親和性分子のデザインを試みています。具体的には、以下に示す2つのアプローチを採用しています。

  1. ACE2(スパイクタンパク質に結合するヒトの受容体)のαヘリックスをデザインスキャフォールドに組み込む
  2. in silicoミニタンパク質ライブラリから、RIFドッキングによりde novoデザイン

双方の方法でデザインした分子を酵母に提示して、RBDへの結合をスクリーニングしています。

スクリーニングにより選抜したクローンを大腸菌で発現したところ、第1のアプローチから3検体中1検体、第2のアプローチから12検体中11検体は可溶性であり、KD 100nM~2uMの範囲でRBDと結合したとのことです。

以降デザインした分子の親和性増強のための変異体構築や、ウイルスに対する中和活性などが示されています。デザイン分子とスパイクタンパク質との複合体構造も、モデルの構造との主鎖CαのRMSDが1.2~1.9Åでありました。

本試験から、de novoデザインは十分な精度で実施することができ、今後の課題は親和性増強分子を少数のデザインから同定することだと主張されています。

追加調査したいこと

この論文では、SARS-CoV-2結合分子の評価に主眼を置かれていました。デザイン手法の詳細については、過去の実施例を追う必要がありそうですので、確認してみたいと思います。

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