論文タイトル
Exploring the repeat protein universe through computational protein design
出典
Nature. 2015 Dec 24;528(7583):580-4.

確認したいこと
一般にパラメトリックデザインと呼ばれる手法の特徴について
要旨
ヘリックス・ループ・ヘリックス・ループのタンデム構造を、パラメトリックにデザインする手法を紹介した論文です。
解説など
本論文は、ヘリックス・ループ・ヘリックス・ループのタンデム構造(ヘリカルリピートタンパク質、DHR)を網羅的にデザインして、天然にはない構造の生成を試みた論文です。
2つのヘリックスと、2つのループからなる構造から、ドメインの長さを変更することで、多様性を生み出しています。ヘリックスの長さは10-28残基、ループの長さは1-4残基です。それぞれ2つあるので、長さを元にした組み合わせは(19 x 19 x 4 x 4)の5,776通りになります。ヘリックス、ループそれぞれを構成する主鎖構造を、フラグメントアセンブリによりモデリングし、配列をデザインします。そして最後に、最終的に設計された構造がエネルギーランドスケープの極小値にあることを確認する流れです。
デザイン者が指定するのは、最初の各ドメインに対する残基長のみで、以降は全自動で構造と配列がデザインされます。エネルギー関数に基づくパラメトリックなデザイン手法です。
生成された構造はヘリックス構造を有しますので、以下の3つのパラメータで表現することができます。
- ヘリックス半径(r)
- ヘリックス軸周りのねじれ角(ω)
- ヘリックス軸に沿った並進(z)
生成したモデル構造をこれらのパラメータを軸にプロットしてみると、天然構造は(高r、低ω)または(低r、高ω)に局所的に存在するのに対して、設計したモデルは多様な構造を生成しているとのことです。
論文中では、設計した構造を発現させて構造解析までおこない、設計精度は高いことが示されていました。
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