【タンパク質モデリング】Rosetta では、モデル膜の種類に応じて膜タンパク質の構造を調整できます

論文タイトル

Modeling membrane geometries implicitly in Rosetta

出典

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.08.23.554394v1

確認したいこと

タンパク質デザインの新規手法をベンチマークしています。

要旨

Rosetta の膜構造のモデリングフレームワークの改良を報告した論文です。

解説など

全長の膜タンパク質をその天然構造を保持したまま調製するために、様々な膜モデルが利用されます。例えば、スラブ、バイセル、ミセル、ベシクルなどです。それぞれの膜モデルは、異なる組成を示し、またその構造(曲率など)も多様です。膜モデルの選択は包埋されたタンパク質の構造に影響を与えます。従来の Rosetta の構造予測パラメータでは、スラブ、つまり平面膜の状態における構造しかモデル化できませんでした。

筆者らは、 Rosetta MP フレームワークを改良して、様々な膜モデルにおけるタンパク質構造を予測できるようにしました。本フレームワークの目的をまとめると以下の通りになります。

  • ミセル・バイセル・ベシクル・膜曲率・二重膜を模倣できるように現在のモデルを調整する
  • 新しい機能の実装を容易にするようにコードインターフェースを改良する
  • 膜の幾何学表現からポアを分離し、単一の一貫性のある表現に変更する
  • コードの重複を見直す
  • テスト機能の改良
  • タンパク質構造上の膜表現を可視化する

本実装は、様々な膜モデルを扱えるようになるだけでなく、1つのシステムに複数の膜を考慮することもできるようになります。本文中では、異なる細胞の脂質二重膜にあるギャップ結合や、グラム陰性菌の外膜・内膜を表現した実施例を紹介しています。

本手法により、膜タンパク質の構造予測・デザインへの応用が進展することを期待しています。

コメント