世の中に存在する複合体タンパク質の構造を徹底解剖!

論文タイトル

An atlas of protein homo-oligomerization across domains of life

出典

ScienceDirect

要旨

生体内に存在するホモオリゴマータンパク質を網羅的に検出して、体系的にその構造や機能、疾患との関連性を考察した論文です。

解説など

AlphaFoldで構造決定が容易な時代ですので、体系的にホモ多量体タンパク質の構造的な特徴を考察することが可能になっています。とはいえ、何量体として存在し得るかまで考慮すると膨大な探索範囲が必要になってきますし、複合体が巨大になればなるほど、構造予測の計算コストも増しますので、ホモマーモデルのアトラスデータを作成するには工夫が必要です。

筆者らは、最初にホモ二量体を予測し、その後二量体の内部対称性に基づいてホモ二量体がより大きな構造を形成するかどうかを分析する階層的アプローチを採用して、生体内に存在し得るホモ多量体の網羅的な解析を試みました。

具体的には、Pyrococcus furiosus、大腸菌、出芽酵母、ホモ サピエンスの 4 種のホモオリゴマー構造を計算しています。結果として得られたデータセットには、872、2,181、1,196、および 3,946 個のホモオリゴマーが含まれており、分析されたプロテオームの 20% ~ 45% をカバーしています。

ここから得られたモデルデータをもとに解析した結果の概要は以下の通りです。

  • 既知のタンパク質複合体の大部分が対称である(ヒトの全複合体のうち、50%以上)
  • コイルドコイル構造がヒトにおける四次構造の進化を可能にする主要な要因である

個人的に、構造設計的な観点からは、モノマータンパク質とダイマータンパク質で、非常に有意なPAEや結合界面の接触残基数の差がみられていることに興味を持ちました。