論文タイトル
One-shot design of functional protein binders with BindCraft
出典

要旨
BindCraft という新しいタンパク質バインダー設計パイプラインを紹介した論文です。
解説など
バインダーデザインツールとしてはとても有名な BindCraft。本ブログでは解説できていなかったため、今回 Nature 紙に掲載されたことをきっかけに、改めて紹介したいと思います。
BindCraftは、ランダム配列からAF2で予測される構造を出発点に、AF2予測とProteinMPNNによる配列再設計を繰り返して信頼性の高いバインダーを設計する手法です。RFdiffusion のような”Diffusion”アプローチに対して、BindCraft は”Hallucination”アプローチと表現されることがあります。
一般的に、RFDiffusionに比べるとBIndCraftは計算コストが高い分、生成された配列のヒットレートは高いと言われています。予測した構造が次の配列設計の入力情報となるため、バインダーの結合によるターゲットの構造変化を考慮した設計ができることが特徴です。
一方で成功率は初期に発生された構造に依存するため、難度の高いエピトープだと十分に候補配列が生成されないこともあります。また設計配列のフィルタリングには、AF2 の monomer モードを活用しています。これは multimer モードのように必ず複合体を形成するようにモデルを誘導しないことで、擬陽性配列を除くことを狙っています。しかし、複合体構造の特徴を適切に捉えられないため、高親和性配列の生成に向かない可能性が指摘されています。
本文では、12種の標的に対してバインダーを設計した事例が紹介されています。AAVのカプシドに BindCraft で生成したバインダーをグラフトするアプローチは特徴的です。グラフトに適した構造を生成するため、Nter-Cterの距離を近づけるためのロスを導入する工夫を施しています。このオプションは、BindCraft の実装でも利用することが可能です。
コードはこちら。


