論文タイトル
High-Throughput De Novo Protein Design Yields Novel Immunomodulatory Agonists
出典
Just a moment...
要旨
de novoタンパク質設計を用いて人工サイトカイン様分子(Novokines)を大量生成し、その免疫シグナル活性を網羅的にマッピングした研究です。
解説など
Synthekine のように、本来は組まない非自然の受容体ペア(例:IL受容体×別ファミリー)を二重特異性リガンドで強制的に二量体化して、シグナル伝達を起こす合成サイトカインを創成した研究が存在します。
本論文では、このバインダーをデノボスキャフォールドとして計算化学的な手法で設計して、複数の受容体を対象に人工的な受容体架橋を網羅的に探索した事例になります。
設計手法は以下3種類です。
- Rosetta-based methods
- 物理ベースのエネルギーモデルを用いた設計(Cao et al., Nature 2022 の手法を踏襲)
- ライブラリからスキャフォールドを選択し、標的界面残基を最適化
- RFdiffusion-based methods
- 深層学習によるバックボーン生成モデル。
- AlphaFold2でpLDDTとPAEに基づくフィルタリングを実施。
- 生成後、MPNNで配列最適化。
- 既知アゴニストの改変再設計
- 例:IL-4やNeo-2(IL-2 mimic)からγcommon結合部位を除去して単受容体バインダー化。
- 既存リガンドの構造を再利用して、部分的にde novo設計。
標的は、以下の表を代表とする 33 種類です。
| カテゴリ | 代表例 |
| 共通受容体 | γcommon, βcommon, gp130, IFNAR1 |
| 私有受容体 | IL2Rβ, IL4Rα, IL7Rα, IL21Rα, IL10Rβ, IFNAR2 |
| 成長因子系 | EGFR, TrkA, FGFR, IGF1R, HER2, etc. |
| TNFファミリー | OX40, 4-1BB, TNFR1, TNFR2 |
| 免疫チェックポイント | PD-L1, CTLA4 |
| TGFβ系 | ALK1, TGFβR2, BMPR2, ActRII |
| インスリン系 | Insulin receptor |
各標的に対して1バインダーを選択した計33バインダーの組み合わせにより、約1,000種の人工融合タンパク質を設計しています。N/Cの融合順序を考慮するとユニークなペアはおよそ500程度です。
そのうち実際に実験で優位なシグナルを示した分子は75種類で、自然界に存在しない組み合わせはその中で18ペアであったとのことです。
優位なシグナルを示したペアについては、リンカーをGSリンカーから剛直リンカーに変更する検証も行われており、一部にシグナル強度の制御が可能であったと報告されています。
IFNAR1が他の受容体とのペアでシグナルを発揮することは新しい知見とのことですが、細胞のへの生物学的な影響までは深く考察はされていません。

