【タンパク質構造解析】超二次構造、『Sモチーフ』の正体

論文タイトル

A modular perspective of protein structures: application to fragment based loop modeling

出典

Methods Mol Biol. 2013;932:141-58.

A modular perspective of protein structures: application to fragment based loop modeling - PubMed
Proteins can be decomposed into supersecondary structure modules. We used a generic definition of supersecondary structure elements, so-called Smotifs, which ar...

確認したいこと

  • タンパク質内部のモジュール・共通モチーフ

要旨

Sモチーフと呼ばれる超二次構造について、その定義や特徴、予測手法が紹介されています。

用語

  • Cα:アミノ酸のカルボキシル基に最も近い炭素原子
  • Cβ:〃に2番目に近い炭素原子
  • CASP:Critical Assessment of protein Structure Prediction

章立て

  1. 緒言
    1. 超二次構造モチーフの定義と解析における、最新の知見
  2. 材料
    1. 超二次構造ビルディングブロックであるSモチーフ
  3. 手法
    1. 既知の構造におけるSモチーフ種の飽和
    2. 新しいタンパク質構造を形成するものは?
    3. データバンクにおけるループ種の飽和
    4. Sモチーフとループモデリング
    5. ArchPREDループモデリングの概要
    6. ArchPREDにおける、ループの選択・フィルタリング・ランキング手法
    7. ArchPREDのパフォーマンス
    8. 信頼性Zスコアの閾値の評価
    9. ArchPREDのウェブサーバ

解説など

Sモチーフとは、2つの隣接する二次構造がループによって連結された構造を指します。

Sモチーフの形状は、2つの二次構造が形づくる4種類の構造配置座標で定義することができます。詳細は図2に示されていますが、1つは二次構造間の距離(D)、残りの3つは角度(δ、θ、ρ)です。

各Sモチーフにこれらのパラメータを与えたところ、324種類のSモチーフに分類することができます。様々なタンパク質が同定されてPDBに公開されている現在、Sモチーフのレパートリーはすでに飽和しています。実際にCASPなどで新しく同定されたタンパク質も、既存のSモチーフから再構築することができるとのことです。

ループをモデリングする手法は大きく、ab initio法(立体構造検索)と、データベース検索法(または知識に基づく手法)に分類されます。またこれらを組み合わせたハイブリッド法も存在します。

本論文において提案するArchPREDは、知識に基づくループモデリング手法です。以前はウェブに公開されていましたが、現在はアクセスできないようです。解析手順は以下のとおりとなります。

  • ライブラリーからSモチーフを探索する
  • RMSDと、ループ・タンパク質環境間の相互作用が適切でないループは排除する
  • Zスコアによりランキングする

この解析手法により、4-7残基のループは、90%の予測精度を示します。一方で、8残基以降は精度が低下し、12残基を超えると30%を切るそうです。長いループ長に対する予測は、課題が残ります。

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