【タンパク質構造解析】Sモチーフライブラリを利用した構造予測手法『SmotifTF』

論文タイトル

Modularity of Protein Folds as a Tool for Template-Free Modeling of Structures

出典

PLoS Comput Biol. 2015 Aug 7;11(8):e1004419.

Modularity of Protein Folds as a Tool for Template-Free Modeling of Structures - PubMed
Predicting the three-dimensional structure of proteins from their amino acid sequences remains a challenging problem in molecular biology. While the current str...

確認したいこと

  • Sモチーフに関する既報

要旨

Sモチーフライブラリーを利用したタンパク質構造予測法、SmotifTFについて、紹介されています。

解説など

タンパク質の構造解析手法は、大きく以下の2種類に分類されます。

  • 鋳型に基づくモデル (template based model, TBM)
  • 鋳型に依存しないモデル (template free model, TFM)

TFMはさらに、以下の2種類に分類されます。

  • ab initio 法 (他のタンパク質構造を一切用いずに物理法則から予測)
  • フラグメントアセンブル法 (タンパク質断片のライブラリーを用いて予測する)

本論文で紹介されているSmotifTF法は、この中でフラグメントアセンブル法に属する手法です。予測に利用するフラグメントライブラリーとして、Sモチーフを利用しています。Sモチーフの定義や特徴は、以下の記事で解説していますので、ご参照ください。

予測モデルのアルゴリズムは以下のとおりです。

  1. PSIPREDを用いて標的タンパク質の2次構造を予測し、Sモチーフを同定する
  2. PDBで利用可能な構造情報から、標的タンパク質に適切なSモチーフをサンプリングする
  3. 以下の指標から、最適な構造モデルを選択する
    • ペアワイズポテンシャル
    • 回転半径
    • 水素結合ポテンシャル
    • 溶媒和ポテンシャル

複数のタンパク質に対して予測を適用したところ、RosettaやI-tasserなど既存の予測アルゴリズムに匹敵する性能を示し、タンパク質の種類によっては、最も精度の高い結果が得られたとのことです。

本手法は、以下のパラメータや、タンパク質の特徴が、予測精度が影響するそうです。

  • PSIPREDによる2次構造予測
  • タンパク質の大きさ(一般的な予測モデルでは、120残基以下のサイズが望ましい)
  • HHalignを用いたSモチーフライブラリのサンプリング

追加調査したいこと

同様の目的で様々な予測モデルが世の中には存在します。複数のモデルからの予測を、統合した手法がないか、確認したいと思いました。

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