論文タイトル
I-TASSER: a unified platform for automated protein structure and function prediction
出典
Nat Protoc. 2010 Apr;5(4):725-38.

確認したいこと
I-TASSERの解析原理と使用方法
要旨
タンパク質構造・機能予測ツールである、I-TASSERの使用方法について解説されています。
章立て
- 緒言
- I-TASSERのサーバ
- ステージ1:スレッディング
- ステージ2:構造の組み立て
- ステージ3:モデル選抜と精緻化
- ステージ4:構造ベースの機能注釈付け
- 予測精度の推定
- 実験デザイン
- マルチドメインタンパク質のモデリング
- 制約条件の設定
- 材料
- 手法
- 配列の入力と制約条件の設定
- 解析結果の利用方法
- 配列と予測された2次構造
- 予測された3次元構造
- スレッディングの鋳型
- 予測モデルにおける構造類縁体
- 予測された構造に基づく機能予測
- トラブルシューティング
- 主な解析データ
解説など
タンパク質の代表的な構造予測ツールである、I-TASSERの使い方が丁寧に解説されています。
以下のURLからウェブツールにアクセスすることができます。アドレスとパスワードの設定が必要で、アカデミアの方のみ、登録が可能となっています。登録可能な方はパッケージ版もダウンロードできるようです。
I-TASSERは、比較モデリング、スレッディング、ab initioモデリングを利用した複合解析アプローチを採用しています。解析は以下の4ステップからなります。
- スレッディング
- 構造の組み立て
- モデル選抜と精緻化
- 構造ベースの機能注釈付け
スレッディングとは、データベースから、クエリ配列と類似の構造を持つタンパク質セットを抽出する工程を指します。
まずBLASTにより進化的に類縁なタンパク質が同定され、マルチプルアライメントに基づいて、タンパク質配列がプロファイリングされます。次にLOMETS51を用いて、PDBの構造ライブラリからスレッディングが実行されるとのことです。クエリ配列の鋳型となるタンパク質の有用性は、Zスコアによって推定されます。
構造の組み立てステップにおいては、スレッディングにより選抜された鋳型構造から、構造断片を抽出し、一つのタンパク質構造として組み立てられます。アライメントが困難な領域は、ab initioモデリングによって構造が予測されます。
第3ステップ目のモデル改良において、前段階におけるフラグメントアセンブルのシミュレーションは繰り返され、予測構造が精緻化されます。
最後のステップは機能予測です。予測された構造と、機能既知のタンパク質をマッチングさせることで、機能を予測します。探索される機能ライブラリーには、EC分類やGO term、またはリガンド結合部位が既知のタンパク質セットが含まれます。
タンパク質の構造類似性検索には、グローバルサーチとローカルサーチの2つの手法が存在します。グローバルサーチとは、タンパク質全体のフォールディングから、類似タンパク質を検索する手法です。一方ローカルサーチとは、局所的な活性部位またはリガンド結合部位の類似性から、タンパク質を検索する手法になります。
追加調査したいこと
非アカデミアの研究者が利用可能な解析ツールを探してみたいと思います。
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