【抗体デザイン】抗体の de novo デザインツール OptMAVEn の最新バージョンを紹介

論文タイトル

OptMAVEn-2.0: De novo Design of Variable Antibody Regions against Targeted Antigen Epitopes

出典

Antibodies (Basel). 2018 Jun 30;7(3):23.

NCBI - WWW Error Blocked Diagnostic

確認したいこと

  • OptMAVEn-2.0の特徴

要旨

抗体デザインツール OptMAVEn-2.0の原著論文です。

章立て

  1. 緒言
  2. 手法
  3. 結果
    1. 10抗原におけるOptMAVEnとOptMAVEn-2.0の比較
    2. 追加の54抗原に対するOptMAVEn-2.0の評価
    3. ジカEタンパク質に対するテスト
      1. パラメータ設定
      2. 天然残基の回収率
      3. ヒト化スコア
      4. 分子力学シミュレーション
    4. 鶏卵白リゾチームに対するテスト
      1. パラメータ設定
      2. 天然残基の回収率
  4. 要約と考察
  5. 結言

解説など

ペンシルバニア州立大学のMaranasラボにて開発された抗体のデザインツールは、以下の変遷を辿って改良が重ねられてきました。

OptCDR → OptMAVEn → OptMAVEn-2.0

OptMAVEnは、OptCDRと比べて、低い免疫原性の抗体配列がデザインされるように工夫されています。その新バージョンに当たるOptMAVEn-2.0は、前バージョンに比べて解析速度の向上がウリとなっています。具体的な改善ポイントは以下のとおりです。

① OptMAVEnでは、各抗原の状態を別々のPDBファイルとして保存するため、過剰なディスク容量を必要とします。一方でOptMAVEn-2.0では、一つの状態を保存し、必要に応じて他の状態を生成することで、この問題を軽減しています。

② デザインした配列をk-meansでクラスタリングし、各クラスタ内でスコアが最上位の配列を選択します。このサイクルを複数回繰り返すことで、より良い配列の生成を試みます。

③ 抗原との衝突を避ける抗体断片を、MAPデータベースから選択するように改良されています。

これらの改善により、OptMAVEnと比べ、計算時間を74%、使用するディスク量を84%削減することに成功しました。

その他、複数の抗原をテストケースとして評価していますが、抗原に対する結合性という観点では評価されていませんでした。デザインツールの評価でよく用いられる指標である天然抗体配列との類似性(回収率、recovery rate)が、主な評価項目です。

本ツールは、GitHubリポジトリとウェブページから、ツールやコードをダウンロードすることが可能です。抗体デザインツールの中では唯一の、オープンソースソフトウェアになります。

ディスカッションにおいて、OptMAVEn-2.0の課題を以下のとおり挙げられています。

  • 電荷をもつ相互作用が増えるにつれて、予測精度が悪化する
  • 抗体そのものの安定性を考慮できていない

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