論文タイトル
Sub-angstrom accuracy in protein loop reconstruction by robotics-inspired conformational sampling
出典
Nat Methods. 2009 Aug;6(8):551-2.

確認したいこと
先日の記事でループモデリング手法CCDを紹介しました。
時系列的にCCDの代替として開発されたループモデリング手法を、本記事では紹介します。
要旨
ロボット工学に基づくルームモデリング手法KICについて紹介した論文です。
解説など
Kinematic closure (KIC)は、ロボット工学で利用されたアルゴリズムです。ロボットアームと肩と指先の固定配置が与えられたときに、アームの関節位置を決定するための方法として開発されました。この「肩」や「指先」をタンパク質のループステム、「関節」をループトップと捉えて、タンパク質のループモデリングに応用しています。
KIC自体のアルゴリズムは、Supplementary Figure 1に掲載されています。大まかな流れは下記のとおりです。
- ループステムの両側にそれぞれ位置する連続する3残基をヒンジ(h1, h2)として固定
- 両ヒンジの内側を4つのフラグメント((h1), F3b, F1, F2, F3a, (h2)の順)に分類
- ヒンジの構造からF3b, F3aの構造を制限
- 周囲のフラグメント構造とは独立して、F1, F2の構造を結合長や結合角から決定
- F3b/F3a, F1, F2が三角形を形成するように各フラグメント長を決定
大まかな流れは、ループを各フラグメントに分解し、それぞれの結合長や結合角を、事前情報で制限された範囲から選択します。最後にフラグメント間のつじつまが合うように調整して、構造を決定していきます。
また、KICを含むループモデリング全体のスキームは、原著のSupplementary Figure 2に掲載されています。大まかには、以下の3ステップでモデリングが実行されます。
- 準備
- セントロイド表現でKICを実行
- フルアトム表現でKICを実行
準備段階では、初期構造から出発し、ロータマーライブラリから側鎖のリパッキングを行います。
その後2度にわたって、KICを実行しますが、初期は低解像度のセントロイド表現、後期は高解像度のフルアトム表現でモデリングを行います。これらKICを実行するステップの内部では、KICが複数回実行され最適な配列がモンテカルロ法で選抜されます。具体的には、先に紹介したKICアルゴリズムの2番目のステップで、ループのフラグメント化を行うと述べましたが、このセグメント化はランダムなポジションで行われ、異なる計算結果から導出された構造で最も優れているものが選抜されることになります。
論文内では、KICに基づいて開発されたループモデリング手法が、従来のCCDに基づく手法に比べ優れていることが、ベンチマーク構造を用いた解析から示されています。



コメント