【タンパク質デザイン】2次構造間に形成されるループの基本原則

論文タイトル

Principles for designing ideal protein structures

出典

Nature. 2012 Nov 8;491(7423):222-7.

Principles for designing ideal protein structures - PubMed
Unlike random heteropolymers, natural proteins fold into unique ordered structures. Understanding how these are encoded in amino-acid sequences is complicated b...

確認したいこと

タンパク質構造の規則性に関わるマイルストーン的な論文です。デザインの自然さを目で見極められるように、定石は理解しておきたいと思っています。

要旨

タンパク質の2次構造間の配向や、間のループ構造の規則性について言及した論文です。

解説など

本論文では、タンパク質の安定構造に関わる規則について言及しています。具体的には、隣接する2つまたは3つの2次構造からなる3次構造を、提案した規則に従ってパターン化しています。

本ルールの最も基本となる規則では、ββ/αβ/βαの3種類の組み合わせに分類したときの、各2次構造の配向や2次構造間のループの特徴について言及しています。

ββルール

L-ヘアピンの場合は、ループ長は2~3残基、R-ヘアピンの場合は、5残基

βαルール

2次構造間が平行であれば、ループ長は2残基、逆並行であれば、3残基

αβルール

2次構造間は逆並行が優先

これらの規則にアミノ酸配列は大きく影響しないそうです。あくまで2次構造の並び方に依存するということで、構造そのものの特徴が、この規則の背景にありそうです。

筆者らは、このルールを活用して、以下に示す異なる5つのフォールディングの構造のデザインを行いました。

  • Fold I: Ferredoxin-like fold (βαββαβ)
  • Fold II: Rossmann2×2 fold (βαβαβαβα)
  • Fold III: IF3-like fold (βαβαββ)
  • Fold IV: P-loop2×2 fold (βαβαβαβα)
  • Fold V: Rossmann3×1 fold (βαβαβαβα)

デザインした分子は実験的に検証され、意図したデザインと類似した構造であることが示されています。

追加調査したいこと

各規則には天然の構造に当てはめると例外となる事例もあるようです。本研究で見出された規則の理論的な裏付けについて、理解を深めたいと思います。

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