論文タイトル
Split-protein systems: beyond binary protein-protein interactions
出典
Curr Opin Chem Biol. 2011 Dec;15(6):789-97.

確認したいこと
デノボデザイン手法の応用事例の1つとして、スプリットタンパク質のデザインに期待しています。本手法の現在地を知るべく、ベンチマークを実施しています。
要旨
スプリットタンパク質の活用事例に関する総説です。
章立て
- 緒言
 - タンパク質間相互作用のイメージング
 - 低分子阻害剤の探索
 - 3者複合体:天然タンパク質および拡散依存的な分割タンパク質の再構築
 - 2量体化誘導剤
 - 自己抑制センサシステム
 - 今後の展望と結言
 
解説など
本レビューはスプリットタンパク質の活用に焦点を当てた総説です。天然のタンパク質をフラグメント化した後、何かしらの環境変化に応じて、それらのフラグメントが再構築されることで、元のタンパク質の活性を回復するというメカニズムには、様々な工学応用の可能性があります。
歴史的には、スプリットされる対象のタンパク質として、以下の分子が活用されてきました。
- ユビキチン
 - GFPまたはその変異体
 - ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)
 - βラクタマーゼ
 - ルシフェラーゼ
 - TEVプロテアーゼ
 - チミジンキナーゼ
 - コリスチン酸ムターゼ
 
本総説では、これらの分子デザインの方法やその課題ではなく、実際の応用事例についてフォーカスして解説しています。応用事例を大きなトピックとして分類すると、以下のとおりとなります。
- タンパク質間相互作用のイメージング
 - 相互作用分子のスクリーニング
 - スプリットされる対象となるタンパク質の活性調節
- 2量化誘導剤を用いたON制御
 - プロテアーゼ切断部位を介した融合タンパク質によるOFF制御
 
 
例えば、GFPのような蛍光タンパク質は分解・再構成が不可逆的であるのに対して、ルシフェラーゼのような発光タンパク質は可逆的にワークすることが多いため、その点で使い勝手が変わります。これはその他のスプリットシステムにおいても活用時に考慮すべき重要な要素になります。
またイメージングにおいてはFRET/BRETのようなシステムもありますし、PPIスクリーニングは各種ディスプレイシステムなどがありますので、現時点ではそれらとの差別化を意識する必要があるでしょう。
代替手法の少ない酵素活性のON/OFF制御などの活用事例が増えるといいなと思っています。
追加調査したいこと
スプリットタンパク質のデザイン手法や、ON/OFF制御システムへの組み込みエンジニアリングの方法論について、もう少し深堀りたいと思っています。

  
  
  
  
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