【タンパク質デザイン】ヘリックス・ループの反復骨格構造を利用して、バインダーをデザインする方法

論文タイトル

De novo design of buttressed loops for sculpting protein functions

出典

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.08.22.554384v1

確認したいこと

深層学習を用いたタンパク質デザイン手法をベンチマークしています。

要旨

本研究は、DARPinsのようなヘリックス・ループの反復構造を骨格としたタンパク質 (RBL) を計算機でデザインした報告です。

用語

  • RBLs: Repeat proteins with Buttressed Loops
  • buttress: 支持する、強化する

解説など

RBLは、ヘリックスの配置により多様な骨格構造を実現し、ループの多様性で様々な機能(抗原結合など)を付与することを目指す分子形です。筆者らはこの分子を計算機でデザインするため以下の原著図1で示された手法を採用しています。全体では、下記の2ステップを必要とします。

  • ループの”buttressed”化に適合する繰り返しヘリックス構造の生成
  • 水素結合/疎水性相互作用に適合するループ構造の生成

まず、骨格構造についてですが、従来のようなフラグメントアセンブリ法では、骨格構造の位置を十分に制御できないと考え、パラメトリックな手法で構造をサンプリングするアプローチを採用しています。構造のサンプリングは以下の手順で進めていきます。

  • 反復構造単位のサンプリング
  • 反復構造単位間の関係性をサンプリング
  • ループ検索プロトコルでヘリックス間を接続

次にループの生成についてです。天然のループに以下の特徴があります。

  • ベータターンが頻繁に含まれる
  • ループとヘリックス主鎖との間でキャッピング相互作用を形成する

これに基づき、4残基の天然タンパク質断片をクラスター化して、ベータターンモチーフとヘリックスキャッピングモチーフのライブラリーを構築し、適切な構造断片を選択しています。

ここからは、ループを骨格構造に挿入し、ループ構造を最適化することで反復タンパク質をデザインします。各工程は基本的に Rosetta を利用し適切な指標でフィルタリングしながら最適構造を選抜しています。デザインされた構造は発現・評価して妥当な構造であることを確認しています。

また、筆者らは RBLs スキャフォールドでバインダーをデザインすることも試みています。(DLP)6、(KLP)6、(DLS)6、などの反復ペプチドをRBLs にドッキングし、剛体摂動させることでデザインしています。実際にウェットで結合評価を実施したところ、7つのデザインで結合が確認されたとのことです。

多様な抗原エピトープに対して適用できる方法ではありませんが、バインダーモジュールを RBLs 上に再配置できることに、有用性を感じました。

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