【抗体デザイン】抗原・抗体相互作用の特徴を網羅的に解析!

論文タイトル

Structural trends in antibody-antigen binding interfaces: a computational analysis of 1833 experimentally determined 3D structures

出典

Structural trends in antibody-antigen binding interfaces: a computational analysis of 1833 experimentally determined 3D structures - PubMed
Antibodies are attractive therapeutic candidates due to their ability to bind cognate antigens with high affinity and specificity. Still, the underlying molecul...

要旨

抗原・抗体相互作用の特徴を網羅的に解析したデータを紹介する論文です。

解説など

抗原・抗体相互作用の特性を体系的に解析して、普遍的な特徴を探ることを試みた論文です。

解析したデータは、SAbDabデータベースから取得した、1,833個の抗原・抗体複合体の構造データになります。いずれも3Åを切る解像度で、抗原がタンパク質またはペプチドである構造のみを抽出しています。各構造について、パラトープ残基とエピトープ残基を5Åのカットオフ距離に基づいて定義することで、パラトープやエピトープ残基特有の傾向をつかむことにも取り組んでいます。

解析は、

  • 抗体:Fv、抗原:タンパク質
  • 抗体:Fv、抗原:ペプチド
  • 抗体:sdAb、抗原:タンパク質

の3つのグループに分けて、各グループ間の差異についても考察しています。

解析結果の要点は次のとおりです。

  •  3 つのグループすべての間で、原子間接触残基数の分布が同様である(抗原がペプチドであること、抗体がsdAbであることに大きな影響はない)。
  • ペプチド結合抗体は、エピトープ残基の数が少ないにもかかわらず、Ab-Ag界面でタンパク質結合抗体と同様の数の総原子間接触を示す。これは、個々のパラトープ残基が複数のエピトープ残基と接触することによって説明される。
  • タンパク質結合 sdAb の場合、CDRが 3 つだけであるにもかかわらず、結合界面における パラトープ残基の分布は Fv 抗体グループと比較してわずかに少ないだけ。
  • パラトープ残基は、主鎖原子と比較して側鎖原子が結合を支配している。
  • パラトープ残基内のアミノ酸の種類は、Ab-Ag複合体の3つのグループにわたって完全に一致。
  • パラトープ残基には、チロシン、グリシン、セリンが多く使用されている。
  • sdAb パラトープには Fv 抗体と比較して、より多くのアルギニン残基が含まれている。特にCDRH3 で過剰に存在している。
  • エピトープ残基の各アミノ酸の使用率は、パラトープ残基に比べて均一に分布。
  • パラトープとエピトープのアミノ酸間の共起を調べたところ、positive/negative チャージ残基間の相互作用に強い共起性が認められた。エピトープアミノ酸としてシステインおよびメチオニンが使われることは少ない。
  • HCDR3の界面ホットスポットは大部分がベル型であり、これは接触点がCDRH3ループの先端の周囲に集まっていることを示している。

公開データとコードはこちら。

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